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「対坐〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

対坐の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
やかな落着きを感ずるよりも、ある強い誘惑を感じた。けれども机に向っておぬいさんと対坐すると、どうしてもいつもの彼の調子が出にくかった。道々彼が思いめぐらしてきた....
蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
七八寸の叩き壊し道具を腰にして居る、何を叩き壊すか知れたものでは無い。そして其の対坐《むこうざ》に坐って居るのは、古い油筒を取上げて三百年も後まで其器の名を伝え....
天馬」より 著者:金史良
に相違なかった。京城の文化社会で誰一人知らぬものはない二人が偶然そろいもそろって対坐した訳である。それに文素玉は玄竜にとっては単なる女流詩人ではないということも....
青春論」より 著者:坂口安吾
しているのである。 人は芸術が魔法だと云うかも知れぬが、僕には少し異論がある。対坐したのでは猥褻見るに堪えがたくて擲りたくなるような若者がサーカスのブランコの....
友人」より 著者:上村松園
別れることのない友である。 私は友人に逢いたくなると画室に入って、その人たちと対坐する。 彼女たちは語らない。 私も語らない。 心と心が無言のうちに相通....
精神病覚え書」より 著者:坂口安吾
われている者であり、東大神経科の外来室に居る患者と異るところがなかったのである。対坐したまま三十分も喋らずにいて、どうしても喋る言葉が浮かびません、と悄然と帰っ....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
秋雨の降りしきる朝。海舟邸の奥の書斎で、主人と対坐しているのは泉山虎之介。訪客のない早朝を見すまして智恵をかりにきたのであるが....
貞操問答」より 著者:菊池寛
く、それに対する挨拶などは一切なかった。 新子も、こんな気持で、夫人とこれ以上対坐することは、堪えられなかったので、 「失礼致しました。」と、せわしなくいって....
この握りめし」より 著者:岸田国士
に囚われはじめたのである。 しかし、その疑念は、岡本の宿をたずね、しばらく彼と対坐しているうちに、跡かたもなく晴れるのが常であつた。 と、秋もようやく過ぎて....
安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
れも亦、平々凡々、総理大臣賞でもないし、デザイナーですらもない。花柳有洸さんも、対坐していればタダの娘である。専門家という特別なものを、平常は全く身につけていな....
南京虫殺人事件」より 著者:坂口安吾
気づかなかった。 百合子はいつのまにか署を抜けだして、すでに陳家の玄関で令嬢と対坐していた。なかば茫然とここへ辿りついてしまったのである。 さすがに令嬢は蒼....
好色破邪顕正」より 著者:小酒井不木
」 「こちらへ御はいり下さい」 と、康雄は刑事を請じ入れ、やがて二人は応接室で対坐した。夕暮に近づいたせいか、室内は薄暗くなりかけたが、康雄は面はゆい気がした....
雪柳」より 著者:泉鏡花
う。…… さて、以下、直槙から聞いた話を、そのままお伝えするのである。 二人対坐で、酌人はわざと居なかった。獅子屋さんは盃をちょっと控えた。 「――雪の家、....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
、八郎は泣いたのだそうである。 私は小さな料亭の小座敷で、翌夜、雪代夫人から、対坐で聞いた。 チーン。 すすり泣く声がすると、鈴が鳴った。……お久という人....
心霊の抱く金塊」より 著者:大倉燁子
えざる人霊の怒りに触れ、気狂いにされたり、命をとられたりする。私は洞窟の闇に霊と対坐して、彼等の希望を訊いてみたのだが、と云っても、直接話をすることが出来ないか....