対岸の火事[語句情報] » 対岸の火事

「対岸の火事〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

対岸の火事の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
工場細胞」より 著者:小林多喜二
ちかけている。「H・S」の同志に握手を求めていること。9。浜の人夫の窮状はもはや対岸の火事ではない。同じ運命がわれ/\にも待ちかまえている。彼等とも我々は手を握....
もの思う葦」より 著者:太宰治
ら出家|遁世もかなわず、なお都の塵中にもがき喘いでいる姿を思うと、――いやこれは対岸の火事どころの話でない。 自分の作品のよしあしは自分が最もよく知っている。....
旅愁」より 著者:横光利一
まに語っていた。 「とにかく、あれは世界戦争の始まりだよ。もう戦争は起っている。対岸の火事じゃないよ。」 こう横から一口云ったのは東野だった。そして、彼はその....
惜別」より 著者:太宰治
るまいか。日本の青年達が支那の国土で勇敢に戦い、貴重な血を流しているのに、まるで対岸の火事のように平然と傍観している同胞の心裡は自分に解しかねるところであった。....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
り、遥かに見える芝の火事を、不安そうに噂した。 「芝と浅草では離れ過ぎていらあ。対岸の火事っていう奴さ。江戸中丸焼けにならねえ限りは、まず安泰というものさ。風邪....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
、実はおれも、徳川の禄を食《は》んで三百年来の家に生れた身であってみると、それを対岸の火事のようには見ていられない、今日まで自分本位で生きて来たが、とにかく、一....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
でも追い出してしまってはならぬ」 というようなことが気懸りになると、白雲も実際、対岸の火事の如く、対岸の駈落者を興味半分だけで見ているわけにはゆかないことに胸を....
夏の花」より 著者:原民喜
も、その時はまだ、私はこの空襲の真相を殆《ほとん》ど知ってはいなかったのである。対岸の火事が勢を増して来た。こちら側まで火照《ほて》りが反射して来るので、満潮の....
今昔茶話」より 著者:国枝史郎
病! フーン、そうかい」 「なおる見込みあるのかい?」 などと、自分の席から、対岸の火事でも見るような態度で声をかけた。 「時の問題だそうだ」 ――これが、....
画筆に生きる五十年」より 著者:上村松園
な、大丈夫の心持でございます。絵三昧に入っているのであります。画壇の揉めごとも、対岸の火事を眺める気持がして、その渦中には入れません。この境地に入るまでには、人....
ある恋の話」より 著者:菊池寛
ったのでしょう。祖母は向島の小さい穏かな住居で、維新の革命も彰義隊の戦争も、凡て対岸の火事として安穏に過して来ました。そして明治十二三年頃に、その一人娘をその頃....
融和促進」より 著者:喜田貞吉
あまりに冷淡でした。差別される者がいかに苦しんでいようとも、世人の多数はいわゆる対岸の火事を見るように、まったく無頓着に、自分ら限りの太平の夢を貪っていたのであ....