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「封ず〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

封ずの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
虞美人草」より 著者:夏目漱石
かくの反吐も残念ながら収まっちまう」 と例の桜の杖《つえ》で、杉の間を指す。天を封ずる老幹の亭々と行儀よく並ぶ隙間《すきま》に、的※《てきれき》と近江《おうみ》....
親子」より 著者:有島武郎
いってからに俺しには商人のような嘘はできないのだから、無理押しにでも矢部の得手を封ずるほかはないではないか」 彼はそんな手にはかかるものかと思った。 「そんな....
運命」より 著者:幸田露伴
甚しというべし。 建文帝の国を遜らざるを得ざるに至れる最初の因は、太祖の諸子を封ずること過当にして、地を与うること広く、権を附すること多きに基づく。太祖の天下....
縮図」より 著者:徳田秋声
、読もうと思えば本も読めないことはなかった。大抵の主人は抱えの読書を嫌い、厳しく封ずるのが普通で、東京でも今におき映画すら断然禁じている家も、少なくなかった。芸....
十二支考」より 著者:南方熊楠
しむ。およそ六、七日で賊境を出で、その夫|恙《つつが》なきに会う。朝廷崇信県君に封ずとあるは犬が封号を得たらしい。また唐の貞元中大理評事韓生の駿馬が、毎日|櫪中....
南地心中」より 著者:泉鏡花
を彫らぬ欄干も、巌を削った趣がある。あまつさえ、水底に主が棲む……その逸するのを封ずるために、雲に結えて鉄の網を張り詰めたように、百千の細な影が、漣立って、ふら....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
、私の魂はあなたの傍にあって、あなたにほほえんでいるでしょう。 その手紙を封ずるものが何もないので、彼はただ紙を四つに折って、上に次のあて名を書きつけた。....
次郎物語」より 著者:下村湖人
ったらしい。或は、もうとうに見つかっていたのかも知れない。父は、給料のほかに金一封ずつを包んで二人に暇をやった。夕飯には、二人の送別会をかねて、何か御馳走がある....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
肉をいおうとした。しかしいうことはできなかった。例の理由のない圧迫が、浪人の口を封ずるからである。 「なんの素敵な鴨なものか、うっかりすると酷い目に逢うぞ」何と....
式部小路」より 著者:泉鏡花
しんみり言う。 ほぼその幼馴染とでもいッつべき様子を知って、他人には、堅く口を封ずるだけ、お夏のために、天に代りて、大いに述懐せんとして、続けてなお説おうとす....
三国志」より 著者:吉川英治
勅命に依って、 貴下を、大将軍太尉にすすめ、併せて冀、青、幽、并の四州の大侯に封ずとのお旨であります。ご領受あらんことを。 「いや、曹操の返辞も、どうかと思っ....
三国志」より 著者:吉川英治
るともなく、印面の文を見ていた。 寿亭侯之印 と、ある。 すなわち寿亭侯に封ずという辞令である。 「お返しいたそう。お持ち帰りください」 「お受けにならん....
三国志」より 著者:吉川英治
使いとして、陣中へ向けてよこした。 逢紀は印を捧げて、 「あなたを、車騎将軍に封ずというお旨です」と、伝えた。 袁譚は、怒って、 「何だ、これは?」 「車騎....
三国志」より 著者:吉川英治
て、同志を語らい、ひそかに計をほどこして給わらぬか。もし成功なせば、貴下を三公に封ずるであろう」と、いった。 ここが大事だ! と※統はひそかに警戒した。まんま....
三国志」より 著者:吉川英治
のような書簡をしたためて送った。 天子、詔を降して、いま不肖周瑜に、南郡の太守に封ずとの恩命がありましたが、南郡にはすでに玄徳あり、臣の得る地は一寸もありません....