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「封蝋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

封蝋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
血の文字」より 著者:黒岩涙香
子の足の下に転がりて酒瓶の栓の在りし事をも記臆し、其栓はコロップにて其一端に青き封蝋の存したる事すらも忘れず、此後千年|生延るとも是等の事を忘る可くも非ず、余は....
風流仏」より 著者:幸田露伴
る当世才子、高慢の鼻をつまみ眼鏡ゆゝしく、父母干渉の弊害を説まくりて御異見の口に封蝋付玉いしを一日粗造のブランディに腸|加答児起して閉口|頓首の折柄、昔風の思い....
爆薬の花籠」より 著者:海野十三
、保つだろう――) 彼は、試験管にコルクの栓をした。それから、器用な手つきで、封蝋を火のうえで軟かくすると、コルクの栓のうえを封じた。それで作業は終ったのであ....
クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
立てなかったろうよ、この鳥は。(立ったところで、)一分も経たない間に、その脚は、封蝋の棒のように、中途からぽきと折れてしまうだろうよ。 「だって、これをカムデン....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
い紙と封筒と、きたないぺんとインクが驚くべき整頓さをもって這入っていた。書留用の封蝋や押印も揃っていた。AHA! 綺麗な花文字入りの封印まで! 蝋を垂らして印を....
亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
破損を補う事が不可能で、全部新規に買入れねばならない不便があった。石油なども口を封蝋で缶してある大きな罎入を一缶ずつ購めねばならなかった。 ◇ ....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ある。そして必ず、鋸屑《のこくず》がいっぱいはいってる黄楊《つげ》の平皿と、赤い封蝋がいっぱいはいってるボール箱とが上にのっている。それは官省ふうの最下級をなす....
性格としての空間」より 著者:戸坂潤
、それは無性格でなければならない。青銅のように自分の形を固持する形式ではなくして封蝋のように空しい質料が夫である。それはもとより判断としての優越性も有たない。そ....
桜の園」より 著者:神西清
うもわしも、めっきり弱くなったよ。亡くなった大旦那さまは、みんなの病気を、いつも封蝋で療治なすったものだ。今でもわしは、毎にち封蝋をのんでるが、これでもう二十六....
魔都」より 著者:久生十蘭
ると、壁の方に近づいて空洞の中へ手を差し入れる。その中から引出されたものは、赤い封蝋で物々しく五カ所に封印された、一目で公文書と判る大きな角封筒だった。 総監....
肌色の月」より 著者:久生十蘭
うレッテルを粘った錠剤の瓶がガラスの棚の上に載っていた。日本薬局方の赤酒は、赤い封蝋をつけてウイスキーの瓶のとなりに並んでいた。 「安心なさい。ジギタミンも赤酒....
紫外線」より 著者:小酒井不木
毛とか動物の毛とかあるいは血液とか尿とか、あるいは各種の絵の具とか、手紙に用いる封蝋とかあるいは衣服の繊維など手当たり次第に研究し、しかもある場合には立派に鑑別....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
っている。 いざ筆に上するとなると、一字一句にも気怯がする。 そりゃ用紙、そりゃ封蝋と、どなたもお持廻になる。 おい、悪霊。君は何がいるのだ。 紙に書くのか、革....
はつ恋」より 著者:神西清
しい隣人から、灰色の紙にしたためた手紙を受取っていた。しかもそれを封じた黒茶色の封蝋ときたら、郵便局の通知状か安葡萄酒の栓にしか使わないような代物だった。その手....
予謀殺人」より 著者:妹尾アキ夫
ていたが、 「お宅にはじゃこうはないでしょうね?」と、なにげない口ぶりできいた。封蝋をあたためていた薬屋の亭主は、顔をおこした。いまにも呪文でもとなえそうな顔だ....