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射る
「射る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
射るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
飛んでいた矢の雨も、見る見る数が少くなって来た。そうしてとうとうしまいには、彼の
射る白羽の矢ばかりが、まるで昼見える流星《りゅうせい》のように、たった一筋空へ上....
「或る女」より 著者:有島武郎
た。五十川女史のそばにすわって、神経質らしく眉《まゆ》をきらめかす中老の官吏は、
射るようないまいましげな眼光を時々葉子に浴びせかけていたが、いたたまれない様子で....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
葉裏に這いよった。そして十四、五分の後にはまた翅をはってうなりを立てながら、眼を
射るような日の光の中に勇ましく飛び立って行った。
夏物が皆無作というほどの不出....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
一座の山の裾《すそ》で、頂の方は真暗《まっくら》だが、山の端《は》からその山腹を
射る月の光に照し出された辺《あたり》からは大石小石、栄螺《さざえ》のようなの、六....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
すぐに引返して、 「姉さんは、もう先方は出たそうですわ。」 云う間程なく、矢を
射るような腕車一台、からからと門に着いたと思うと、 「唯今!」と車夫の声。 ....
「朱日記」より 著者:泉鏡花
と声を揚げた。廊下をばらばらと赤く飛ぶのを、浪吉が茱萸を擲つと一目見たのは、矢を
射るごとく窓硝子を映す火の粉であった。 途端に十二時、鈴を打つのが、ブンブンと....
「女客」より 著者:泉鏡花
可い、蚊の畜生覚えていろと、無念骨髄でしたよ。まだそれよりか、毒虫のぶんぶん矢を
射るような烈い中に、疲れて、すやすや、……傍に私の居るのを嬉しそうに、快よさそう....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
めたにもかかわらず、かッと握拳で耳を圧えて、横なぐれに倒れそうになって、たちまち
射るがごとく町を飛んだ。その状は、人の見る目に可笑くあるまい、礫のごとき大粒の雨....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
が、白髪の牙に血を滴らして、破簾よりも顔の青い、女を宙に啣えた絵の、無慙さが眼を
射る。 二 「さあさあ看板に無い処は木曾もあるよ、木曾街道もあるよ....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
ある事を諒として下さいまし。縫もよくこの意を体して、三年の間、昼夜を分かず、的を
射る修錬をいたしました。――最初、的をつくります時、縫がものさしを取って、革鞄の....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
洋杖をちょいとついて、小刻に二ツ三ツ地の上をつついたが、懶げに帽の前を俯向けて、
射る日を遮り、淋しそうに、一人で歩き出した。 「ジャム、」 真先に駈けて入った....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
は異って、格別鼻が高い訳でもなく、ただ体格が普通人より少し大きく、又眼の色が人を
射るように強い位の相違で、そしてその総髪にした頭の上には例の兜巾がチョコンと載っ....
「寡婦」より 著者:秋田滋
を捲いていて、額にひくく垂れ下がり、髭は縮れ、眼がそれはそれは大きくて、その眼で
射るように視られると、何がどうということもなしに、相手の胸は乱れるのでした。 ....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
りを縮めて、 「や!」 響くは凄じい水の音、神川橋の下を潜って水門を抜けて矢を
射るごとく海に注ぐ流の声なり。 「念入だ、恐しい。」と言いながら、寝返の足で船底....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
はぐッたりと下に垂れて、忘れたように、掴んだ奴の咽喉を離した。 身を飜すと矢を
射るよう、白い姿が、車の横を突切って、一呼吸に飛んで逃げた。この小路の出口で半身....