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「将棋の駒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

将棋の駒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
がわずかに一つあがったのです。それは一個の駒《こま》でありました。馬の駒ではない将棋の駒で、それも王将。婢のいうには、あの町人の三百両紛失事件が降ってわいたその....
恐怖城」より 著者:佐左木俊郎
き椅子を示しながら、喜平は怒鳴るように言った。正勝は静かに腰を下ろした。そして、将棋の駒《こま》のように肩を角ばらせて顔を伏せた。 「正勝! てめえは浪岡を幾ら....
軍用鮫」より 著者:海野十三
につっ立った。 「では、始めるぞ」 「みんないいか、用意!」 海面には虎鮫が、将棋の駒のようにずらりと鼻をならべて左右の戦友をピントの合わない眼玉で眺めている....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
笑った。「幕府の歩兵には、豹だの、茶袋だのという綽名《あだな》が付いていました。将棋の駒の歩《ふ》は歩兵《ふひょう》で、つまりは歩兵《ほへい》の意味です。そこで....
竜舌蘭」より 著者:寺田寅彦
にぎやかな家もひっそりして、床の間の金太郎や鐘馗もさびしげに見えた。十六むさし、将棋の駒の当てっこなどしてみたが気が乗らぬ。縁側に出て見ると小庭を囲う低い土塀を....
空襲警報」より 著者:海野十三
った。いまや王手飛車とりの角を盤面に打ちこもうとしたエビス顔の辻村氏の頭の上に、将棋の駒がバラバラと降ってきた。おどろくまいことか、彼氏の金切声――。 「うわー....
二つの途」より 著者:豊島与志雄
河村はふと不安な気分になって、話を止してしまった。皆が、ぽつりぽつりと置かれた将棋の駒のように黙って坐っていた。 四時頃に本田医学士が来た。木下が玄関に出迎....
反抗」より 著者:豊島与志雄
、書棚の隅から外字雑誌を取ってきては、その※絵を眺めたりした。 やがて、横田は将棋の駒を抛り出して云った。 「今日はどうもいかん。またこの次にしよう。」 「と....
巷談師」より 著者:坂口安吾
好みのものを観戦する。将棋名人戦、本因坊戦、スポーツ万端、よろず、やる。 私は将棋の駒の動き方を知ってるだけだ。いつか読んだ将棋雑誌の某八段の説によると、こう....
可能性の文学」より 著者:織田作之助
呆な手をさしたという心になって泣いている――というのである。将棋盤を人生と考え、将棋の駒を心にして来た坂田らしい言葉であり、無学文盲の坂田が吐いた名文句として、....
或る部落の五つの話」より 著者:佐左木俊郎
氏! 小頭って役目は、右向けいってときに、みんなが右さ向く間に、左さ向いて、肩を将棋の駒のようにしながら、火事場の方角でも確かめるのかね? そして、左向けいって....
歌麿懺悔」より 著者:邦枝完二
、弾き落すようにして、きーんと畳の上へ投げ出した二|分金が一枚、擦れた縁の間へ、将棋の駒のように突立った。 「おや、それアお前さん、二分じゃないか」 お近は手....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
ウントも、競争者ではなかったか? ブラウントは美少年である。エリザベスから彼女の将棋の駒の一つの黄金の女王を頂くために、槍試合の功を建てた。そして、獲ちえたトロ....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
。私は克明に写生した。 その屋根は上部で段がついた深い急勾配で、正面から見ると将棋の駒の外観をしていた。棟には幾つかの空気抜きの小さな塔が並んでいた。屋根裏の....
新古細句銀座通」より 著者:岸田劉生
必ず永く立って聞いていたものだった。この男はまだ健在で今は長大なピンセットで紙の将棋の駒を動かしながら「何とかして角べろりん」などと例のふし廻しでしゃべりながら....