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「尋常〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

尋常の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
疑惑」より 著者:芥川竜之介
N家の二番娘で、当時私が学校以外にも、時々|出稽古《でげいこ》の面倒を見てやった尋常四年生の長男の姉だったろうではございませんか。勿論私は一応辞退しました。第一....
」より 著者:芥川竜之介
ばかりではない。お君さんも内心、お松さんの趣味の低いのを軽蔑している。あれは全く尋常小学を出てから、浪花節《なにわぶし》を聴いたり、蜜豆《みつまめ》を食べたり、....
沼地」より 著者:芥川竜之介
してその土に繁茂《はんも》する草木《そうもく》とを描《か》いただけだから、恐らく尋常の見物からは、文字通り一顧さえも受けなかった事であろう。 その上不思議な事....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
、銀座通りに落ちている紙屑ばかりじゃありません。夜更けて乗る市内の電車でも、時々尋常の考に及ばない、妙な出来事に遇うものです。その中でも可笑《おか》しいのは人気....
或る女」より 著者:有島武郎
歩いて来た道を振り返って見ると、いっしょに葉子と走っていた少女たちは、とうの昔に尋常な女になり済ましていて、小さく見えるほど遠くのほうから、あわれむようなさげす....
或る女」より 著者:有島武郎
よりも過剰の健康とでもいうべきものを思わせた。ただその両眼と口びるだけは明らかに尋常でなかった。すっかり充血したその目はふだんよりも大きくなって、二重《ふたえ》....
星座」より 著者:有島武郎
十二分の重荷であるのを清逸はよく知っている。弟の純次は低能に近いといっていいから尋常小学だけで学校生活をやめたのはまずいいとしても、妹のおせいに小樽で女中奉公を....
三つの宝」より 著者:芥川竜之介
は剣を持っている。(急に王子を睨みながら)あなたはわたしの幸福を奪うものだ。さあ尋常に勝負をしよう。わたしの剣は鉄でも切れる。あなたの首位は何でもない。(剣を抜....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
なり、義人となり、君子となり、節婦となり、忠臣となる。弱い人はまた幸にして一個の尋常な人間となる。それは人々の好き好きだ。私は弱いが故に後者を選ぶ外に途が残され....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
戸を揺って笑うと、バチャリと柄杓を水に投げて、赤目の嫗は、 「おほほほほほ、」と尋常な笑い声。 廊下では、その握られた時氷のように冷たかった、といった手で、頬....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
歳、横縦揃った、筋骨の逞ましい大柄の男子で、色は余り白い方ではありません。目鼻立尋常、髭はなく、どちらかといえば面長で、眼尻の釣った、きりっとした容貌の人でした....
」より 著者:秋田滋
した。一口に愛していたと申しましても、わたくしは、肉体的な愛慾とか、あるいはまた尋常一と通りの精神的な愛情、そのような通り一遍の気持で愛していたのではございませ....
瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
の尽力に出でたるものにて、例の財政困難の場合とて費用の支出については当局者の苦心尋常ならざりしにもかかわらず、陸軍の隊長等は仏国教師の言を聞き、これも必要なり彼....
活人形」より 著者:泉鏡花
空とぼければ擦寄って、「何をもないもんだよ。分別盛りの好い年をして、という顔色の尋常ならぬに得右衛門は打笑い、「其方もいけ年を仕ってやくな。といえば赫となり、「....
罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
ハットを被った二十人の男が、この意識して、生きた目で、自分達を見ている、生きた、尋常の人間一匹を殺すことが出来よう。そんな事は全然不可能ではないか。 こう思っ....