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「尋常科〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

尋常科の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
おじいさんのランプ」より 著者:新美南吉
さんのところへ字を教えてもらいにいった。 熱心だったので一年もすると、巳之助は尋常科《じんじょうか》を卒業した村人の誰にも負けないくらい読めるようになった。 ....
語られざる哲学」より 著者:三木清
は無論私の哲学的生活よりずっと以前に始った。確か高等小学の一年、今の制度にすれば尋常科五年のことだったと覚えている。自分ではひとかどの俳人のつもりでいた私のクラ....
雛妓」より 著者:岡本かの子
は、ここが言出すによき機会か、ただしは未だしきかと、大きい袂の袖口を荒掴みにして尋常科の女生徒の運針の稽古のようなことをしながら考え廻らしていたらしいが、次にこ....
わが町」より 著者:織田作之助
娘の蝶子であった。 蝶子はそんな母親をみっともないとも哀れとも思った。それで、尋常科を卒て、すぐ日本橋筋の古着屋へ女中奉公させられた時は、すこしの不平も言わな....
」より 著者:島崎藤村
集った。下婢も台所を片付けて来て、手習の仲間入をさして貰った。ともかくもこの娘は尋常科だけ卒業したと言って、その前に雇った下女のように、仮名の「か」の字を右の点....
国民学校への過程」より 著者:宮本百合子
たちの数は随分夥しいもので、昭和十四年度には凡そ二百三十七万人余であった。これは尋常科高等科卒業と高等一年修了の児童たちを総括しての数である。 八年制はつまり....
百姓弥之助の話」より 著者:中里介山
の学校へ通うものが一村のうちで一人か二人位のものであった。まして女の子に至っては尋常科四年生を卒業すれば充分だと云われたものであるが、今はもうちょっとしたところ....
一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
て退くまで、じつに三十五年間全く一日の如く奮闘した。村の子供の多くは穂高小学校の尋常科を終るとそのままそこの高等科に残り、特に理解のある家の子弟だけが研成義塾に....
私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
の払底を来たしたかというに、ちょうど女中払底とその理由は同じである。貧家の子弟は尋常科も中途で廃業せしめられ、僅かの日雇銭を取るために、工場通いかあるいは役所会....
子どもの世界」より 著者:村山俊太郎
この数学者の血は、彼自身の描いた円の上を鮮血に彩ってたおれたという話。そのあとで尋常科五年の長男は、四年の次男と約束し合っていた。 よし、ぼくらもどんな空襲に....
土竜」より 著者:佐左木俊郎
くこときり知らなかったんだからね。」 「学校さだけは、もう少し、六年生まででも、尋常科だけでも卒業させでえと思ったのでがすが、何しろ私等は、帳面一冊買ってやんの....
妖婦」より 著者:織田作之助
はもうその頃には胸のふくらみなど何か物を言い掛けるぐらいになっていた。 やがて尋常科を卒え、高等科にはいると、そのふくらみは一層目立ち、安子の器量のよさは学校....
くまと車掌」より 著者:木内高音
わたしは尋常科の四年を卒業するまで、北海道におりました。その頃は、尋常科は四年までしかあ....
式部小路」より 著者:泉鏡花
いをして帰って、佃島の小さな長屋の台所へ、笊と天秤棒を投り込むと、お飯を掻込んで尋常科へ行こうというのだ。売り勝とう、売り勝とうと、調子を競って、そりゃ高らかな....
婚期はずれ」より 著者:織田作之助
セルロイドのマスクのかげで執拗く客に問い掛けると、客は露骨にいやな顔した。永助は尋常科を卒業しただけだが、講義録など見るので、却って商売の邪魔になった。 大分....