小作米[語句情報] »
小作米
「小作米〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
小作米の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「姪子」より 著者:伊藤左千夫
たようだった、其時のあの女の顔をおれは未だに覚えてる、其の後、家のおやじに話して
小作米の残り三俵をまけてやった、心懸けがよかったからあの女も今はあんなに仕合せを....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
そろたち始めた。朝ごとの霜は藁葺の屋根を白くした。 寺の庫裡の入り口の広場にも
小作米がだんだん持ち込まれる。豊年でもなんとか理屈をつけてはかりを負けてもらう算....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
惣庄屋をして居て、農には元来縁浅からぬ家である。彼も十四五の頃には、僕に連れられ
小作米取立の検分に出かけ、小作の家で飯を強いられたり無理に濁酒の盃をさゝれたりし....
「三郎爺」より 著者:宮本百合子
なったのである。 十二 幾年振りかの豊作だったので、山沢さんの
小作米が、「ふんだん」に上った。 平常の借りも皆返してよこしたので、何でも、三....
「黒い地帯」より 著者:佐左木俊郎
席を譲られると、真面目に農家の副業と云うことに就いて考えた。彼の家の小作人達が、
小作米を自分の処へ持って来ると、後に残る米は一箇年間の飯米にも足りないほどで、買....
「乳色の靄」より 著者:葉山嘉樹
一つで、庭の続きになっていた。前は、秋になると、大倉庫五棟に入り切れないほどの、
小作米になる青田に向っていた。 邸後の森からは、小川が一度邸内の泉水を潜って、....
「たにしの出世」より 著者:楠山正雄
いたいぞ」 と、ある日、おとうさんは背中をたたきながら、地主の長者|屋敷へ納める
小作米の俵を、せっせとくらにつけていました。 するうち、ふとあたまの上で、 「....
「農村」より 著者:宮本百合子
ずかって居た田は、そんなに悪い地ではないらしい。 他の小作男に見つもらせても、
小作米だけは不作でも十分あがる面積と質を持って居た。 けれ共どうしたものか、毎....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
「そうなれば、今のままでは、とてもやっていけませんわ。いよいよ土地が売れたら、
小作米だって、ぐっと減るでしょう?」 「減るどころじゃない。全くなくなるさ。」 ....
「蜜柑」より 著者:佐左木俊郎
眼を据えているお婆さんを促した。 「うむ。――今年は、稲鳰、六つあげだようだな。
小作米出した残りで、来春までは食うにいがんべな。」 「鳰一つがら、五俵ずつ穫れで....
「学者安心論」より 著者:福沢諭吉
税を集むるは、政府の政なり。平民が、学塾を開いて生徒を教え、地面を所有して地代|
小作米《こさくまい》を取立つるは、これを何と称すべきや。政府にては学校といい、平....
「瘤」より 著者:犬田卯
地主たちは、かつて左翼華やかなりし頃、この瘤の献身的な強圧のお蔭を被って滞りなく
小作米を取り立てていた。 自小作農にいたっては遺憾ながら烏合の衆というよりほか....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
が知らせたとでもいうか、自転車を飛び下りて俵を検分すると、たしかに自分のである。
小作米として取ったその俵装には、ちゃんと生産人の名前が記入せられていたのである。....
「不在地主」より 著者:小林多喜二
ひらめきのように、いきなり健の眼をくらました。 「気の毒だが、小樽からの命令で、
小作米を押えるから。」 吉本は戸口に立ったきりの健に、憎いほど落着いた低い声で....
「好日」より 著者:三好十郎
よく聞くと、「一俵二俵三俵……」と言っている。昔、田舎で盛大にやっていた時分の、
小作米の勘定をしているんだな。……人間の妄想と言うか……現在一升の米にも困ってい....