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小冠者
「小冠者〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
小冠者の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「倫敦消息」より 著者:夏目漱石
転と小波瀾があって我下宿の主人公はその尨大《ぼうだい》なる身体を賭《と》してかの
小冠者差配と雌雄《しゆう》を決せんとしつつある。しかして我輩は子規の病気を慰めん....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
えながら行くものもある。途中で一行におくれて、また一目散に馬を飛ばす十六、七歳の
小冠者もある。 こんなふうにしてさらに谷深く進んだ。二十二日には浪士らは上穂ま....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
りに注意を向けたものはあっても、多分、これはこの踊りの女連の弁当担ぎか、下足番の
小冠者に過ぎまいと見ただけのものです。
そこで、米友は、誰のなんらの怪しみにも....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
らば弔《とむら》ってやって下さいとお茶坊主が言った――義元といえば哀れなものさ、
小冠者信長に名を成させたも彼が油断の故にこそ、信長が無かりさえすれば、武田よりも....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
こに全く安住の地を得たと謂《い》いつべきです。隣国の近江では死を以て待たれたこの
小冠者も、僅かに関一重越えて来ると、全く生命の安全が保証されるというのは、封建ブ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
その翌日はまたも昨日と同じ道場で、稽古をつけてやっていると、そこへ不意に、一人の
小冠者が走《は》せつけて来ました。
小冠者といっても、これは兵馬がしばしば驚か....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
でうまく要領を外したという取柄があるのであります。しかし献上隊の奴等は、今のあの
小冠者のタンカがおかしかったり、その手練に舌を捲いたり、その口小言が絶えないので....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
、八郎太へ、正眼につけた。一人が、それを援けて、右側から、下段で迫って来た。
「
小冠者っ」
天童は、刳形へ手をかけて、ずっと、鞘ぐるみ刀を――丁度、柄頭が、自....
「俳人蕪村」より 著者:正岡子規
おろしおく笈《おひ》になゐふる夏野かな 夕顔や黄に咲いたるもあるべかり 夜を寒み
小冠者臥したり北枕 高燈籠《たかどうろ》消えなんとするあまたゝび 渡り鳥雲のはた....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
け、独り静かに、読書していた狩猟装束の若公卿がある。 後ろには、拳に鷹をすえた
小冠者も控えていた。 「…………」 じっと、こちらを射たのも一瞬、公卿の眼はす....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
なんで慄える」 「はい」 「出来るか」 「いたしまする」 「かかる大役に、わざと
小冠者のそちを選んだのは、敵を計るためでもある。わしが鎌倉へ曳かれた後には、さっ....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
野にみだしていたが、そんな中をいま、 「殿ッ」 足もとの見さかいもなく、一人の
小冠者が狂奔して行き、 「殿っ。殿はどこです?」 と駈け過ぎる騎馬をみるたび、....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
ずにしまったので、いま、妻の手紙を巻きおさめながら、その妻の手塩の愛を――可憐な
小冠者姿に隈なく持って――ちょこんと目の前に畏まった正行にどこか急に大人びて来た....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
ずんだ気配である。五、六名の武者らしかった。しかし内へ入って来たのは、ただ一人の
小冠者の影であった。遠くにかしこまって、手をつかえている。見れば、河内に残して来....