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小判形
「小判形〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
小判形の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
んだ」と船頭はまた答えた。 そうして湯屋の留桶《とめおけ》を少し深くしたような
小判形《こばんなり》の桶の底に、硝子《ガラス》を張ったものを水に伏せて、その中に....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
当の三介もいる。風邪《かぜ》を引いたと見えて、このあついのにちゃんちゃんを着て、
小判形《こばんなり》の桶《おけ》からざあと旦那の肩へ湯をあびせる。右の足を見ると....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
縞目の上に残されているものは、まさしく水で印した跡だった。全体が長さ二尺ばかりの
小判形で、ぼうっとした塊状であるが、仔細に見ると、周囲は無数の点で囲まれていて、....
「西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝」より 著者:三遊亭円朝
通って見ますと、一間は床の間、一方は地袋で其の下に煎茶の器械が乗って、桐の胴丸の
小判形の火鉢に利休形の鉄瓶が掛って、古渡の錫の真鍮象眼の茶托に、古染付の結構な茶....
「浴槽の花嫁」より 著者:牧逸馬
女は真裸の姿で、浴槽に片脚入れて媚《こ》びるように笑っていた。西洋の浴槽だから、
小判形に細長く、一人が寝てはいるようにできている。ブラドンは、看護婦あがりの若い....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
た。それから町を歩くと煙草屋が多過ぎることであった。一町内に必ず一つ位はあの赤い
小判形の中のたばこという黒い字が目につくのであった。完全に煙草を忘れるのに一年位....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
が、金三円ばかりなり、我楽多文庫売上の暮近い集金の天保銭……世に当百ときこえた、
小判形が集まったのを、引攫って、目ざす吉原、全盛の北の廓へ討入るのに、錣の数では....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
をとって、煽《あお》ぎながら、畳んだ手拭の中をかえして頸《くび》を拭《ふ》いた。
小判形の団扇《うちわ》が二本、今戸名物、船佐《ふなさ》の佃煮《つくだに》の折が出....
「魔味洗心」より 著者:佐藤垢石
美しい鱒科の魚特有の紫紺斑点が消え失せているが、鮭の子の肌には青銀色の鱗に微かに
小判形の斑点がうかびでて、鮮麗の彩、まことにかがやかしい。 一、二寸に育った鮭....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
鳴らして、三助に知らせます。流しを頼んだ人には、三助が普通の小桶ではない、大きな
小判形の桶に湯を汲んで出します。暇な人は流しを取って、ゆっくりと時を過すのでした....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
当って見ると、栃の木の佳いのはいくらもある、それらは大概|崖に生えているのだが、
小判形で直径七尺以上のものがあるという。それで、直段は何程かと聞くと、三円だとい....
「明治時代の湯屋」より 著者:岡本綺堂
れる。これは三助(東京では普通に番頭という)に背中を洗わせる客に限って使用させる
小判形の桶を新調するという意味で、単に新調するというのではなく、その桶を新調する....
「少年の食物」より 著者:木村荘八
い。或いは、当時の市会議員の像かも知れぬ? そう云う、沢山に人のいる、それが各々
小判形の中に、ベタ一面人のいる額がかかっていました。紙が黄ろくくすんでいたことと....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
ずに食事を終った。彼らの手にせる「メンパ」というのは、美濃方面で出来る漆で塗った
小判形の弁当箱で、二合五|勺入りと三合入りとある。山へ出る時は、二つもしくは三つ....
「食道楽」より 著者:村井弦斎
カデン は前のように肉と玉葱とパンを捏《こ》ねた中へ生玉子一つを加えてまた捏ねて
小判形に押し付けてブリキ皿へ入れます。その周囲《まわり》へ細かく刻んだ玉葱一つと....