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小半
「小半〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
小半の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
くねんと突っ立ったまま、池の中の蓮《はす》の実の一つに目を定めて、身動きもせずに
小半時《こはんとき》立ち尽くしていた。
八
日の光がとっぷりと隠れてしまっ....
「或る女」より 著者:有島武郎
もなく天井の木目《もくめ》を見やっているのも、珍しい事のように快かった。
やや
小半時《こはんとき》もそうしたままでいると、帳場でぼんぼん時計が九時を打った。三....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
あが》った額からは汗の玉がたらたらと流れ出た。それが仁右衛門には尊くさえ見えた。
小半時《こはんとき》赤坊の腹を撫で廻わすと、笠井はまた古鞄の中から紙包を出して押....
「海異記」より 著者:泉鏡花
きざした。さあ、誰ぞ来てやってくれ、ちっと踞まねえじゃ、筋張ってしょ事がない、と
小半時でまた理右衛門|爺さまが潜っただよ。 われ漕げ、頭痛だ、汝漕げ、脚気だ、....
「蠅男」より 著者:海野十三
んで協力を申出でた。そこで三人は、鼠のようになって、古書の山を切り崩していった。
小半時間も懸ったであろうか。 「うむ、あったぞッ!」 と、突然帆村が叫んだ。カ....
「春昼」より 著者:泉鏡花
。山清水がしとしとと湧く径が薬研の底のようで、両側の篠笹を跨いで通るなど、ものの
小半道踏分けて参りますと、其処までが一峰で。それから崕になって、郡が違い、海の趣....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
う御談義だ。あの手合はあんな事さえ云ってりゃ、飯が食えて行くんだと見えらあ。物の
小半時も聞かされちゃ、噛み殺して居た欠伸の御葬いが鼻の孔から続け様に出やがらあな....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
。船は小さし、胴の間へ突立って、釣下って、互違に手を掛けて、川幅三十|間ばかりを
小半時、幾度もはっと思っちゃ、危さに自然に目を塞ぐ。その目を開ける時、もし、あの....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
造の門にかかげた、石ぼやの門燈に、影を黒く、段を降りて砂道へ出た。が、すぐ町から
小半町|引込んだ坂で、一方は畑になり、一方は宿の囲の石垣が長く続くばかりで、人通....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
き町の角の煙草屋も見たし、絵葉がき屋も覗いたが、どうもその類のものが見当らない。
小半町|行き、一町行き……山の温泉の町がかりの珍しさに、古道具屋の前に立ったり、....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
びせて、嘉吉の横顔へびしりと来たげな。 きゃっ!と云うと刎返って、道ならものの
小半町、膝と踵で、抜いた腰を引摺るように、その癖、怪飛んで遁げて来る。 爺どの....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
あろう。 先刻に氷月の白い柳の裏木戸と、遠見の馬場の柵際と、相望んでから、さて
小半時|経っている。 崖下ながら、ここの屋根に日は当るが、軒も廂もまだ雫をしな....
「異国食餌抄」より 著者:岡本かの子
夕食前の
小半時、巴里のキャフェのテラスは特別に混雑する。一日の仕事が一段落ついて、今少し....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
見ておりました。何をしたか分りません、障子|襖は閉切ってございましたっけ、ものの
小半時|経ったと思うと、見ていた私は吃驚して、地震だ地震だ、と極の悪い大声を立て....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
雲庵が復活するのではない。 向島の言問の手前を堤下に下りて、牛の御前の鳥居前を
小半丁も行くと左手に少し引込んで黄蘗の禅寺がある。牛島の弘福寺といえば鉄牛禅師の....