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「小器用〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

小器用の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
虞美人草」より 著者:夏目漱石
れない意味だよ。人間全体が活動する意味だよ。口が巧者《こうしゃ》に働いたり、手が小器用に働いたりするのは、いくら働いたって真面目じゃない。頭の中を遺憾《いかん》....
旧主人」より 著者:島崎藤村
の御話を伺って見れば、たとえ男が好くて持物等の嗜《たしなみ》も深く、何をさせても小器用なと褒められる程の方でも、物事に迷易くて毎《いつ》も愚痴ばかりでは頼甲斐《....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
一時の方便のために絵を描くのであるから、所詮は素人の眼を誤魔化し得るだけに、ただ小器用に手綺麗に塗り付けて置けばよいのである。田舎侍に何がわかるものかと時々こう....
柿色の紙風船」より 著者:海野十三
ムを入れたとき、五十嵐の奴はそれを裏返したが、そのとき遅く彼のとき早しで、彼は、小器用に指先を使って、ラジウムを掏りとったに違いなかった。 そのことについて今....
食魔」より 著者:岡本かの子
見せた。狭い匙の中でフォークの尖はミシン機械のように動く。それは卑劣と思えるほど小器用で脇の下がこそばゆくなる。酢の面に縮緬皺のようなさざなみか果てしもなく立つ....
新世帯」より 著者:徳田秋声
っている。不器用なお作が拵えてくれた三度三度のゴツゴツした煮つけや、薄い汁物は、小器用なお国の手で拵えられた東京風のお菜と代って、膳の上にはうまい新香を欠かした....
梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
◇ 因にこの頃聞いたところによると、その頃の筆者は恐ろしく小器用な謡で、只圓門下に似合わないコマシャクレた舞を舞っていたそうである。門弟た....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
縁日の露店に箱庭の人形、家、橋、船、家畜の類、実生の苗木と共に売行よく、植木職が小器用にしつらえたものより、各自に手づくりするを楽しみとし、船板の古びたるなぞで....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
兵衛は行燈《あんどん》の下で麻を扱《しご》いて、それを足の指の間へ挿《はさ》んで小器用に細引《ほそびき》を拵《こしら》えながら、 「ねえ、宇津木様、知らぬ山道を....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ての生活の前には、到るところを渡り労働者として歩いているから、何かと経験もあり、小器用でもあって、時には信じ過ぎ、買いかぶって苦笑いに終ることもあるが、大体に於....
フシギな女」より 著者:坂口安吾
らんなさい。 ラーメン弐、と、書きまちがえて、訂正しているが、その訂正の仕方も小器用で、いかにも馴れた感じである。字も達筆で、金釘流ではなく、¥の横文字もなれ....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
てから、曳やッと気合を掛けて打込む命掛けの勝負であった。追取刀でオイ来たと起上る小器用な才に乏しかった。「間に合わせ」とか「好い加減」とかいう事が嫌いであったし....
蒼白い月」より 著者:徳田秋声
それとはまた異った意味で、頽廃しつつあるのではないかとさえ疑われた。何事もすべて小器用にやすやすとし遂げられているこの商工業の都会では、精神的には衰退しつつある....
偶言」より 著者:津田左右吉
翫賞に供せられずして私人的であるために小規模のものとなり、従って調子の低い、また小器用なものが尚ばれたこともその一であろう。四畳半式芸術とも名づくべきものが何れ....
魂の喘ぎ」より 著者:大倉燁子
を殺して私も死のうと決心したのです。 私は気が狂ったのでしょうか。 何事にも小器用な公高は小鳥を飼い馴らすのが上手でした。恰度おそまきの痲疹を患ってそれが癒....