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「小壺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

小壺の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
河明り」より 著者:岡本かの子
色に華やぎ始めた朝の光線が当って、閃く樹皮は螺線状の溝に傷けられ、溝の終りの口は小壺を銜えて樹液を落している。揃って育児院の子供等が、朝の含嗽をさせられているよ....
艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
も「わび」を感じるといって、暫くの間も座右を離さなかった。その子権十郎はまたその小壺に書きつけをして、 「昔年亡父孤蓬庵主小壺をもとめ、伊予すだれと名づけ、その....
海辺小曲(一九二三年二月――)」より 著者:宮本百合子
日かげが廻って来る。 ささやかな紙の障子は ゆるがぬ日に 耀き渡り マジョリカの小壺に差した三月の花 白いナーシサス、薄藤色の桜草は やや疲れ 仄かに花....
日輪」より 著者:横光利一
ると我にいった。」 「行け。」 卑狗の大兄は笑いながら、自分の勾玉をさらさらと小壺に入れて立ち上った。 「今宵は何処で逢おう?」 「行け。」 「丸屋で待とう。....
三つの悲憤」より 著者:豊島与志雄
が胸にあふれて、激しい憤りとなりました。 彼はつかつかと父の側に歩み寄り、その小壺を手荒くひったくって、木の根本に叩きつけました。壺は砕け散りました。 父は....
大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
した。ためつすがめつ調べたが、何の変った所もなかった。丈三寸、周囲三寸、掌に載る小壺であった。焼にも変った所がない。ただし厳重に蓋が冠せてあって、取ろうとしても....
赤げっと 支那あちこち」より 著者:国枝史郎
の長方形の盆が置いてあり、その上に、金属製の煙灯と、一回分の阿片液を入れた棗形の小壺が置いてあり、二本の煙斗(即ち阿片の煙管なのだ)が置いてあることに留意しなけ....
茶粥の記」より 著者:矢田津世子
のが今でも大事に納ってある。いつだったか近所に火事があったとき、良人がこの梅干の小壺を抱えてうろうろしていた恰好があとあとまで笑い種になった。 土鍋一つで清子....
手仕事の日本」より 著者:柳宗悦
す。国のごく左の端に一つかけ離れて喜阿弥と呼ぶ窯があります。ここでは鉄釉で土瓶や小壺などを作りますが、可憐なものがあります。「糊壺」の如きよい例をなします。この....
三国志」より 著者:吉川英治
世間の者が怖がっている星である。 「ありがとうございました」 劉備青年は、錫の小壺を、両掌に持って、やがて岸を離れてゆく船の影を拝んでいた。もう瞼に、母のよろ....
私本太平記」より 著者:吉川英治
誘うのはめずらしい。何かあるのか」 「は、ないこともございませぬ」 すぐ下は、小壺ノ浦か。 波音をたよりに、松ばかりな丘の暗い小道を、高氏は足さぐりで降りか....
私本太平記」より 著者:吉川英治
ではございませぬか」 「なに」 「忘れもせぬ去年の初秋、右馬介どののお手引きで、小壺ノ浦で、うれしい半夜を、二人だけで語りました。その折の約束を、藤夜叉はついぞ....
私本太平記」より 著者:吉川英治
岡の下で、意外な邂逅を驚き合い、あれから俄に道をかえて来た二人だった。 所は、小壺ノ浦。七里ヶ浜も東で切れた磯山の松風の中。 朽ちはてた“雪見ノ亭”の古縁に....
私本太平記」より 著者:吉川英治
いつまで日蔭者ではおかぬ、藤夜叉もきっと高氏の室に入れてつかわすと、かつて鎌倉の小壺ノ浦で、殿はかたいお約束をつがえておいでなされます」 「責めるのか、右馬」 ....
私本太平記」より 著者:吉川英治
で、どうにもなるまい」 「いや、さきに金沢ノ崇顕がおすすめ申し上げましたごとく、小壺ノ浦には、日ごろの御遊船やら大船八、九そうを武装させ、万一の用意につないでご....