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小天地
「小天地〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
小天地の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
せい》、――たちまち私の眼の前には、大癡老人が造りだした、天地よりもさらに霊妙な
小天地が浮び上ったのです。私は胸を躍《おど》らせながら、じっと壁上の画を眺めまし....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
《あわ》を喙《ついば》んでは嬉しげに羽搏《はばたき》するものは女である。籠の中の
小天地で女と鳴く音《ね》を競うものは必ず斃《たお》れる。小野さんは詩人である。詩....
「夜行巡査」より 著者:泉鏡花
帯の樹立《こだ》ちと相連なる煉瓦屋《れんがおく》にて東京のその局部を限れる、この
小天地|寂《せき》として、星のみひややかに冴《さ》え渡れり。美人は人ほしげに振り....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
につり下げ、しば/\風に吹き消されながら、小さな蝋燭をともした。緑色に透き徹った
小天地、白い帆かけ舟が一つ中にともした生命の火のつゞく限りいつまでもと其|表を駛....
「四日間」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
に這降りる蟻に、去年の枯草のこれが筐とも見える芥一摘みほど――これが其時の眼中の
小天地さ。それをば片一方の眼で視ているので、片一方のは何か堅い、木の枝に違いない....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
◇ 人はよく私を江戸趣味の人間であるようにいっているが、決して単なる江戸趣味の
小天地に跼蹐しているものではない。私は日常応接する森羅万象に親しみを感じ、これを....
「モンアサクサ」より 著者:坂口安吾
浅草は東京のモンパルナスとかモンマルトルというところで、浪流と希望の魂のはかない
小天地である。 こういう性格は、文化都市の一つの心臓として欠くべからざるもので....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
するものがあり、畏縮させるものがあったとはいえ、一たび外に出れば、そこには自由な
小天地がかれをここちよく迎えてくれた。とんぼの代りに自然を観察することが、かれを....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
鳥古京にくらべればコマ村は更に更に小さくて平凡で奇も変もないが、いかに平々凡々の
小天地にも栄枯盛衰や血なまぐさい興亡はあって然るべく、概ね避け難いものだ。 コ....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
己の中に蔵めている。各個の人間は、物の鏡、事実の鏡であって、宇宙の中で一つ一つの
小天地をつくっている。しかし、試みに旅に出てみよ。雑多な民族が、到る処にうごめい....
「妖怪学」より 著者:井上円了
生じて、水火木金土の五行の気をしき、万物その気を受けざるはなし。なかんずく、人は
小天地なるがゆえに、五行の正気を得て生育すれば、五徳ことごとく身に備わらざるなし....
「二葉亭四迷」より 著者:内田魯庵
て生活の苦痛を叫んでるものは多いが、その大多数は自己一身に対しては満足して蝸殻の
小天地に安息しておる。懐疑といい疑惑というもその議論は総てドグマの城壁を固めて而....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
メフィストフェレス
それは少しばかりの真理を申したのです。
人間は、気まぐれの
小天地をなしていて、
大抵自分を全体だと思っていますが、
わたしなんぞは部分のま....
「澪標」より 著者:外村繁
して、何かを喰べている。不意に、異様な形の奴が現れることもある。私はいわば水中の
小天地を窺って、飽きることがなかった。 しかし私の遊び場は屋敷内に限られていて....
「エタに対する圧迫の沿革」より 著者:喜田貞吉
等は、さらにそれをエタに向かって転嫁する。社会の階級観念はますます甚だしくなる。
小天地にのみ圧窄せられたエタがいよいよ堕落の底に落ち込み、ますます貧乏になったの....