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小寒
「小寒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
小寒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
っている事を魁《さきが》けにいった。「さあ」と葉子もはっきりしない返事をしたが、
小寒《こさむ》くなって来たので浴衣《ゆかた》を着かえようとすると、そこに袖《そで....
「蟹工船」より 著者:小林多喜二
が、手が届きそうな上を、マストに打ち当りながら、急角度を切って吹きとんで行った。
小寒い雨がまだ止んでいなかった。四囲にもりもりと波がムクレ上ってくると、海に射込....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
穀物でも入れておくところらしいが……。 空いっぱいに茜《あかね》の色が流れて、
小寒い烏の声が二つ三つ、ななめに夕やけをつっきって啼きわたるころ。 夕方を待っ....
「廃墟から」より 著者:原民喜
り暗くなっていたし、片方に展《ひろ》がっている焼跡には灯一つも見えなかった。暗い
小寒い路が長かった。どこからともなしに死臭の漾《ただよ》って来るのが感じられた。....
「作家への課題」より 著者:宮本百合子
どが、われわれの前面に押し出されて来る。 作者が、北のはずれの野地にかこまれた
小寒村にさえも、生きている農村の人間のさまざまのタイプを描こうとして、馬喰兼太、....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
八 「年は三十七です。私は逓信省に勤めた小官吏です。この度飛騨の国の山中、一
小寒村の郵便局に電信の技手となって赴任する第一の午前。」 と俯向いて探って、鉄....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
、聞いていても、そう耳ざわりになるわけではないが……」 「かなわない、何しろ大寒
小寒《おおさむこさむ》の時は、山から小僧が飛んで来ることになっているのが、反対に....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
衰弱して殊に寒気には閉口する。幸に去年からそれを凌いで来て、これからは、いわゆる
小寒大寒を凌がねばならぬ。果して凌げるかどうかは神ならぬ私は全く知らないのである....
「栄蔵の死」より 著者:宮本百合子
をした。 そして、さのみ気が乗ったでもない様にして、枕元の小盆《こぼん》の傍に
小寒く伏せてあった雑誌を取りあげた。お金が小やかましいので、日用品以外の物と云っ....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
受けたものよ」 義兄弟の噂 しばらく話が途絶えた。春とはいっても、夜は
小寒かった。各自に出されてある火桶に、炭火は充分にいけられていたが、広い部屋は、....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
に足らずと存じ候。歳暮御忙しき事と御察し申上候。当地は二三日代りに乍寒乍暖、まだ
小寒なるに梅など処々|開居候。 十二月二十九日雨夜林太郎 きみ子様....
「随筆 寄席囃子」より 著者:正岡容
ありったけに思えて、ぞっと水でも浴びた心地に、四谷の通りへ駆けて出ると、秋の夕の
小寒い灯が、ここでも、何がなし、あたしの瞳にいぶかしく、映ったことを記憶《おぼ》....
「艶色落語講談鑑賞」より 著者:正岡容
人の口から聞かされた。 東京パレス紀行 一 昭和二十六年陽春の
小寒い夕まぐれ、宮尾しげを画伯、俳人S氏、温泉協会のA氏と四人で私は小岩二枚橋の....
「寄席行灯」より 著者:正岡容
に思えて、ぞっと水でも浴びたここちに、四谷の通りへ駆けて出ると、ここでも秋の夕の
小寒い灯が何がなし、あたしの瞳にいぶかしく、うつった。 これが、思い出の、そう....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
な火鉢に、榾火の燃き落しを運んで来る。「官員サンに何か出さねーとわるいぞよ――、
小寒いに――、火でもくれないとわるいぞよ」という。洋服を着けた人は誰でも官員サン....