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小店
「小店〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
小店の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
めてのようにあたりを見た。そこには紺暖簾《こんのれん》を所せまくかけ渡した紙屋の
小店があった。葉子は取りあえずそこにはいって、人目を避けながら顔を洗わしてもらお....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
のである。 五十二 田を行く時、白鷺が驚いて立った。村を出る時、
小店の庭の松葉牡丹に、ちらちら一行の影がさした。聯る車は、薄日なれば母衣を払って....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
ずねでございます――お社へお供物にきざ柿と楊枝とを買いました、……石段下のそこの
小店のお媼さんの話ですが、山王様の奥が深い森で、その奥に桔梗ヶ原という、原の中に....
「食魔」より 著者:岡本かの子
に入りの蒐集品で部屋の中を飾った。それでも狭い部屋の中は一ぱいで猶太人の古物商の
小店ほどはあった。 彼はその部屋の中に彼が用いつけの天蓋附のベッドを据えた。も....
「河明り」より 著者:岡本かの子
雪は、私が曾て他所の諸方で見たものと違って、やはり、東京の濠川の雪景色であった。
小店員が入って来て、四五通の外文の電報や外文の手紙を見て呉れと差出した。 「まこ....
「春昼」より 著者:泉鏡花
といえば丁どその時、向う詰の岸に踞んで、ト釣っていたものがあったでござる。橋詰の
小店、荒物を商う家の亭主で、身体の痩せて引緊ったには似ない、褌の緩い男で、因果と....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
鳥の影もなかった。そのかわり、町の出はずれを国道へついて左へ折曲ろうとする角家の
小店の前に、雑貨らしい箱車を置いて休んでいた、半纏着の若い男は、軒の藤を潜りなが....
「小春の狐」より 著者:泉鏡花
敷から湖の向うにほんのりと、薄い霧に包まれた、白砂の小松山の方に向ったのである。
小店の障子に貼紙して、 (今日より昆布まきあり候。) ……のんびりとしたもの....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
ない、荷が濡れよう、と爺どのは駆けて戻って、がッたり車を曳出しながら、村はずれの
小店からまず声をかけて、嘉吉めを見せにやります。 何か、その唄のお声が、のう、....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
電信柱にはたとつける、と摺抜けに支えもあえず、ぼったら焼の鍋を敷いた、駄菓子屋の
小店の前なる、縁台に※と落つ。 走り寄ったは婦ども。ばらばらと来たのは小児で。....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
いて、唄をやめた。 「早附木を買いに入ったのかな。」 うっかりして立ったのが、
小店の方に目を注いで、 「ああ、そうかも知れん。」と夏帽の中で、頷いて独言。 ....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
もうお雪が寝起の目にも留まらず、垣を潜って外へ出ると、まだ閉切ってある、荒物屋の
小店の、燻った、破目や節穴の多い板戸の前を抜けて、総井戸の釣瓶がしとしとと落つる....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
留って、浮雲のただよう形、熟と此方を視めたが、思切った状して去った。 その傍に
小店一軒、軒には草鞋をぶら下げたり、土間には大根を土のまま、煤けた天井には唐辛。....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
下の穴から、こう覗く。客も覗く。…… つま屋と名づくるのが、また不思議に貝蛸の
小店に並んでいて、防風芹、生海苔、松露、菊の花弁。……この雨に樺色の合羽占地茸、....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
左辺に見る。この港は石炭輸出港にして、汽船みな載炭のためにここに入る。市街は矮屋
小店のみなるも、汽車の来往頻繁なるは、石炭輸送のためなり。午後五時抜錨して、夜九....