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「小悪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

小悪の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
う心の中には思いながらも、葉子の心にはどうしてもそのいう事を聞かぬいたずら好きな小悪魔がいるようだった。即座にその場を一人《ひとり》だけで飛び出してしまいたい衝....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
ないような濃い雪の群れは、波を追ったり波からのがれたり、さながら風の怒りをいどむ小悪魔のように、面憎く舞いながら右往左往に飛びはねる。吹き落として来た雪のちぎれ....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
は弾き返すように嗤った。 「冗談じゃない。どうして、あのファウスト博士に、そんな小悪魔が必要なもんか。やはり、悪鬼の陰険な戦術なんだよ。で、仮令ば家族の中に、一....
松と藤芸妓の替紋」より 著者:三遊亭円朝
ねえ……あなた本当に此の娘はお客の前へ出るとはら/\する性質でいけません、あんな小悪らしいぎす/\した奴は有りません」 新「お母さんの云いようも悪かったよ……お....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
ろう。』 などと私達は話しあっていたが、あんまりしつこく呪面されると、なんだか小悪魔にでも魅入られているようで、つい私たちも不愉快な気持ちにされることが多かっ....
ジーキル博士とハイド氏の怪事件」より 著者:佐々木直次郎
が自分の霊魂の中から呼び出して、ただその思いのままに振舞うために出してやったこの小悪魔は、生まれつき悪質邪悪なものであった。彼のすること考えることはみな自己が中....
カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
どうもたいへんな隠者があったもんだ! そうらね、おまえの胸のなかにだって、そんな小悪魔が潜んでいるじゃないか、え、アリョーシカ・カラマゾフ!」 「僕は途方もない....
モンアサクサ」より 著者:坂口安吾
軽に酒の飲めるところはない。女優さんのみならず、男の芸人たちも、それぞれ仁義ある小悪党で、罪を憎まず、人の弱さを知り、およそ暴力を知らない平和人ばかりである。彼....
ジロリの女」より 著者:坂口安吾
ると、意地悪く急所をつかんで、最大級の汚らしさで解説して下さるものだ。私のような小悪党は敵の弱所に同感もあることだから、こうは汚らしく攻めたてるわけには参らない....
イワンの馬鹿」より 著者:菊池寛
たのに、べつにいさかいもなく、仲良く別れて行ったので大へん腹を立てて、早速三人の小悪魔を呼び集めました。そして言いました。 「ここに兵隊のシモン、肥満のタラス、....
街はふるさと」より 著者:坂口安吾
悪党は弱い者にはオトコ気もあり立派な遊びをするかというと、とんでもない話なのだ。小悪党というものは階級意識の強いものだ。パンパンのような社会的地位がゼロ以下の合....
あるニュウ・フェイスへの手紙」より 著者:岸田国士
りだからでしょう。 ジイドの「サユウル」は、変った人物がたくさん登場しますが、小悪魔の群は、ビング嬢(この配役は残酷に思われました)を筆頭にして、若い女優の総....
小説集「白い朝」後記」より 著者:豊島与志雄
小説集「白い朝」後記 豊島与志雄 茲に収められてるものは、都会の知識階級のおかしな物語である。これらの物語はみな、小悪魔の角度から眺められた。小悪魔は虚構の人物であるが、この場合、必要な創作技法....
三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
沼南は度量海の如き大人格でも、清濁|併せ呑む大腹中でもなかった。それよりはむしろ小悪微罪に触れるさえ忍び得られないで独りを潔うする潔癖家であった。濁流の渦巻く政....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
ないという一家である。日本の国と人とに今はひたすら取り縋ってはいるものの、由来|小悪で狡くて、勝っては傲り、弱みにつけこみやすいのが日本人のある階級の特性である....