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「小春〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

小春の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
樗牛の事」より 著者:芥川竜之介
明白な答を与ええないのは、全く自分の怠慢である。そう言えば今年の秋も、もういつか小春《こはる》になってしまった。 二 ちょうどそれと反対なの....
二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
桃にふける友鳥…… 「いまはじめて相分った。――些少じゃが餌の料を取らせよう。」小春の麗な話がある。 御前のお目にとまった、謡のままの山雀は、瓢箪を宿とする。....
革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
はない。 が、持主でない。その革鞄である。 三 這奴、窓硝子の小春日の日向にしろじろと、光沢を漾わして、怪しく光って、ト構えた体が、何事をか企....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
ちょうど狼の温泉へ入込みます途中でな。……晩に雪が来ようなどとは思いも着かねえ、小春日和といった、ぽかぽかした好い天気。…… もっとも、甲州から木曾街道、信州....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
きを刻んでいると、空の鵄が暗号でもしたらしい、一枚びらき馬蹄形の重い扉が、長閑な小春に、ズンと響くと、がらがらぎいと鎖で開いて、二人を、裡へ吸って、ずーんと閉っ....
南地心中」より 著者:泉鏡花
一 「今のは、」 初阪ものの赤毛布、という処を、十月の半ば過ぎ、小春凪で、ちと逆上せるほどな暖かさに、下着さえ襲ねて重し、野暮な縞も隠されず、頬....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
る。勿論誰も手を触れず、いつ研いだ事もないのに、切味の鋭さは、月の影に翔込む梟、小春日になく山鳩は構いない。いたずらものの野鼠は真二つになって落ち、ぬたくる蛇は....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
と薄いが、桃色の手柄の丸髷で、何だか、はれぼったい、瞼をほんのりと、ほかほかする小春日の日当りに表を張って、客欲しそうに坐っているから。…… 羽織も、着ものも....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
のつッと出た、鉄道の局員が被るような形なのを、前さがりに頂いた。これにてらてらと小春の日の光を遮って、やや蔭になった頬骨のちっと出た、目の大きい、鼻の隆い、背の....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
と手足を動かす形は、菜畠であからさまに狐が踊った。チャンチキ、チャンチキ、田舎の小春の長閑さよ。 客は一統、女中たち男衆まで、挙って式台に立ったのが、左右に分....
久米正雄」より 著者:芥川竜之介
趣さえ感じたことがある。愛すべき三汀、今は蜜月の旅に上りて東京にあらず。…………小春日や小島眺むる頬寄せて 三汀....
初雪」より 著者:秋田滋
らと晴れ亙った、暖かい日だった。冬とは思われない陽ざしの降り濺ぐ、なまあたたかい小春日和である。輪を囘して遊んでいる子供を連れたり、男と何やら語らいながら、足ど....
多神教」より 著者:泉鏡花
と、髪、化粧し、色香、容づくった町の女が、御堂、拝殿とも言わず、この階に端近く、小春の日南でもある事か。土も、風も、山気、夜とともに身に沁むと申すに。―― 神楽....
式部小路」より 著者:泉鏡花
それから静に上って見た。屏風の端から覗くと、お夏は床の上に起上って、暖に日のさす小春の朝。行燈の紙|真白に灯がまだ消えず。ああ、時ならぬ、簾越なる紅梅や、みどり....
北海道に就いての印象」より 著者:有島武郎
たりと変らない昼間の暑さ、眼を細めたい程涼しく暮れて行く夜、晴れ日の長い華やかな小春、樹は一つ/\に自分自身の色彩を以てその枝を装う小春。それは山といわず野とい....