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「小春日〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

小春日の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:海野十三
小春日和の睡さったらない。白い壁をめぐらした四角い部屋の中に机を持ちこんで、ボン....
獄中記」より 著者:大杉栄
ながら、左側の窓からそとを指さして言った。みんなは頸をのばして見た。遙か向うに、小春日和の秋の陽を受けて赤煉瓦の高い塀をまわりに燦然として輝く輪喚の美が見えた。....
若菜のうち」より 著者:泉鏡花
街道を傍へ入って、田畝の中を、小路へ幾つか畝りつつ上った途中であった。 上等の小春日和で、今日も汗ばむほどだったが、今度は外套を脱いで、杖の尖には引っ掛けなか....
みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
に挨拶をして立つと、そこへ茶を運んで来たのが、いま思うとこの女中らしい。 実は小春日の明い街道から、衝と入ったのでは、人顔も容子も何も分らない。縁を広く、張出....
古狢」より 著者:泉鏡花
に見える。見ると、やや立離れた――一段高く台を蹈んで立った――糶売の親仁は、この小春日の真中に、しかも夕月を肩に掛けた銅像に似ていた。 「あの煙突が邪魔だな。」....
革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
はない。 が、持主でない。その革鞄である。 三 這奴、窓硝子の小春日の日向にしろじろと、光沢を漾わして、怪しく光って、ト構えた体が、何事をか企....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
ちょうど狼の温泉へ入込みます途中でな。……晩に雪が来ようなどとは思いも着かねえ、小春日和といった、ぽかぽかした好い天気。…… もっとも、甲州から木曾街道、信州....
南地心中」より 著者:泉鏡花
大鳥居を潜るよと見た、見る目も彩な、お珊の姿が、それまでは、よわよわと気病の床を小春日和に、庭下駄がけで、我が別荘の背戸へ出たよう、扱帯で褄取らぬばかりに、日の....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
る。勿論誰も手を触れず、いつ研いだ事もないのに、切味の鋭さは、月の影に翔込む梟、小春日になく山鳩は構いない。いたずらものの野鼠は真二つになって落ち、ぬたくる蛇は....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
おとなしい、静な円髷で、頸脚がすっきりしている。雪国の冬だけれども、天気は好し、小春日和だから、コオトも着ないで、着衣のお召で包むも惜しい、色の清く白いのが、片....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
と薄いが、桃色の手柄の丸髷で、何だか、はれぼったい、瞼をほんのりと、ほかほかする小春日の日当りに表を張って、客欲しそうに坐っているから。…… 羽織も、着ものも....
久米正雄」より 著者:芥川竜之介
趣さえ感じたことがある。愛すべき三汀、今は蜜月の旅に上りて東京にあらず。…………小春日や小島眺むる頬寄せて 三汀....
花束の虫」より 著者:大阪圭吉
て、だから大月は、夫人から悲報を真っ先に受けたわけである。 冬とは言え珍らしい小春日和で、列車内はスチームの熱気でムッとする程の暖さだった。銚子に着いたのが午....
初雪」より 著者:秋田滋
らと晴れ亙った、暖かい日だった。冬とは思われない陽ざしの降り濺ぐ、なまあたたかい小春日和である。輪を囘して遊んでいる子供を連れたり、男と何やら語らいながら、足ど....
六日月」より 著者:岩本素白
朝早く一乗寺村を歩いて、それから秋晴の八瀬大原、帰りに鞍馬へ登って山端の駅まで戻って来ると、折から小春日の夕日を受けた叡山が、ぽか/\と如何にも暖かそうな色をして居るので、つい誘....