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「小枕〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

小枕の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
酒中日記」より 著者:国木田独歩
政はすやすやと寝入り、その傍《そば》に二歳《ふたつ》になる助《たすく》がその顔を小枕《こまくら》に押着けて愛らしい手を母の腮《あご》の下に遠慮なく突込んでいる。....
去年」より 著者:伊藤左千夫
は少し先に起きた。三つになるのがふとんの外へのし出て眠っているのを、引きもどして小枕を直しやりながら、 「ねいあなた、まだ起きないですか」 「ウム起きる、どうし....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
殿ともいう木造りの形のものに限られ、その上でも守らねばならない教訓があった。固い小枕の紙の上で髪をこわさないように眠ることはもとより、目をつぶったまま寝返りは打....
清貧の書」より 著者:林芙美子
黒塗《くろぬ》りの枕を私は一ツ手にした。死んだ祖母の枕ででもあったのであろうが、小枕が非常に高いせいか、寝ているのか起きているのか判《わか》らないほど、その枕は....
播州平野」より 著者:宮本百合子
の破綻のうちにある。 ひろ子のこめかみをすべってつめたく苦い、渋い涙が、籐製の小枕におちた。戦争犯罪人という字句をポツダム宣言の文書のうちによんだとき、ひろ子....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
手習させて、 寺の和尚が、 道楽和尚で、 高い縁から突落されて、 笄落し小枕落し、) と、よく私を遊ばせながら、母も少かった、その娘たちと、毬も突き、....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
はじめて花見に出たら、寺の和尚に抱きとめられて、 高い縁から突落されて、笄落し、小枕落し…… 古寺の光景は、異様な衝動で渠を打った。 普通、草双紙なり、読本....
霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
二ツで十四|銭に致しやす」 由「高いねえ、此の枕は一寸縁日で買うと安いが、これは小枕が小さくッて、これじゃア出来やしねえが、何うしてもこれは買わなければならねえ....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
をと思うに、まずわれに鞠歌を唄わしむるなり。 「高い縁から突き落されて、笄落し、小枕落し……」 と唄い続けつ。頭を垂れて聞き果てたり。 「何だか可哀っぽいのね....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
だろう。 「やっちゃん、てったのねえ。」 その女は綺麗《きれい》な、ちりめんの小枕《こまくら》に絹糸の房の垂れている、きじ塗りの船底枕《ふなぞこまくら》をわき....
茶屋知らず物語」より 著者:岡本かの子
座敷へ現れました。いずれも水色の揃いの帷子に、しん無しの大幅帯をしどけなく結び、小枕なしの大島田を、一筋の後れ毛もなく結い立てています。京女の生地の白い肌へ夕化....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
り、白い肌が濡れた羽衣に包まれたようになって、紅の閨の寝息が、すやすやと、春風の小枕に小波を寄せている。私はただ屏風の巌に、一介の栄螺のごとく、孤影|煢然として....