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小犬
「小犬〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
小犬の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「彼 第二」より 著者:芥川竜之介
で「見ろ」と云う合図《あいず》をした。靄《もや》の中に仄《ほの》めいた水には白い
小犬の死骸が一匹、緩《ゆる》い波に絶えず揺《ゆ》すられていた。そのまた
小犬は誰の....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
いもんでございますね。」
婆さんは水口《みずぐち》の腰障子を開けると、暗い外へ
小犬を捨てようとした。
「まあ御待ち、ちょいと私も抱いて見たいから、――」
「御....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
一々名をつけてやるのじゃから、まず童《わらべ》たちが鹿狩《ししがり》と云っては、
小犬を追いまわすのも同じ事じゃ。ただ音無《おとなし》の滝《たき》だけは本物よりも....
「箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
声をかけた。 寒い風が仲の町を走るように吹いて通った。この風におどろいた一匹の
小犬が、吹き飛ばされたようにここの軒下へ転げ込んで悲鳴をあげた。 「あれ、怖い」....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
といったばかりできまりが悪そうに、くるりと後向《うしろむき》になった。
その時
小犬ほどな鼠色《ねずみいろ》の小坊主《こぼうず》が、ちょこちょことやって来て、あ....
「俘囚」より 著者:海野十三
》れったそうに揺れている。何か、入っているのだろうか。入っているとすると、猫か、
小犬か、それとも椰子蟹《やしがに》ででもあろうか。いよいよこの家は、化物屋敷にな....
「少年探偵長」より 著者:海野十三
た。 「この部屋からでようよ」 「うん。今ならでられるやろ」 春木と牛丸とは、
小犬のようになって、すばやく部屋からとびだした。 「あッ。ちょっと待った。しいッ....
「すり替え怪画」より 著者:海野十三
べて分ったところを綜合して考えてみますのに……」 と袋探偵は鼻をくすんくすんと
小犬の様に鳴らし、それから突然胸を張って深呼吸を一つすると「……これは実に変った....
「地底戦車の怪人」より 著者:海野十三
して、 「ううーん、ああッ」 こんな風に、五、六回やっているうちに、彼の鼻が、
小犬のそれのように、くんくんと鳴りだした。 「ああッ、ああッ、あーあ。はて、おれ....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
人も、来る人も、なくなって、古ぼけた酒店の杉葉の下に、茶と黒と、鞠の伸びたほどの
小犬が、上になり下になり、おっとりと耳を噛んだり、ちょいと鼻づらを引かき合ったり....
「故郷」より 著者:井上紅梅
どんなものか、その時ちっとも知らなかった。――今でも解らない――ただわけもなく、
小犬のような形で非常に猛烈のように感じた。 「彼は咬みついて来るだろうね」 「こ....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
プラットフォオムにも、今日は珍しく見送りの人影さえ跡を絶って、唯、檻に入れられた
小犬が一匹、時々悲しそうに、吠え立てていた。これらはその時の私の心もちと、不思議....
「兎と猫」より 著者:井上紅梅
て来させたからだ。 子供等はもちろん大喜びで、取囲んで見る。他にSという一匹の
小犬がある。馳《か》け出して来てふんふん嗅いでみて、嚔《くしゃみ》を一つして二三....
「春」より 著者:岡本かの子
うるさい。何笑ってんの。 京子が眼を覚まして首を持ち上げた。まだ眠くて堪らない
小犬のように眼はつむったまま加奈子の笑い声をうるさがった。京子は不眠症にかかり十....
「四十年前」より 著者:内田魯庵
島|通庸は遺憾なく鉄腕を発揮して蟻の這う隙間もないまでに厳戒し、帝都の志士論客を
小犬を追払うように一掃した。その時最も痛快なる芝居を打って大向うを唸らしたのは学....