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小禽
「小禽〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
小禽の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
《おもいや》られた。奥座敷の縁側に出してある、大きな籠《かご》に啼《な》いている
小禽《ことり》の声が、時々聞えていた。
市《まち》から引れてある電燈の光が、薄....
「畜犬談」より 著者:太宰治
もって人間の御機嫌をとり結ぼうと努めている。雀を見よ。何ひとつ武器を持たぬ繊弱の
小禽《しょうきん》ながら、自由を確保し、人間界とはまったく別個の小社会を営み、同....
「爬虫館事件」より 著者:海野十三
聞いていましたが、一人は爬虫館の研究員の鴨田兎三夫という理学士医学士、もう一人は
小禽暖室の畜養主任の椋島二郎という者、この二人です。ところが両人が園長を見掛けた....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
、捲毛のカナリヤの籠の側で、庸三はよく籐椅子に腰かけながら、あまり好きでないこの
小禽の動作を見守っていたものだが、いくらかの潜在的な予感もあったので、葉子のこの....
「黴」より 著者:徳田秋声
く手擦り際へ出て庭を眺めたり、額や掛け物を見つめたりしていたが、階下に飼ってある
小禽の幽かな啼き声が、侘しげに聞えて来た。 日暮れになっても、雨はしとしとと降....
「爛」より 著者:徳田秋声
ったその家は、蔵までついていてかなり手広であった。薄日のさした庭の山茶花の梢に、
小禽の動く影などが、障子の硝子越しに見えた。 やがて奥へ入って行った浅井は、寝....
「野道」より 著者:幸田露伴
木を籠める遠霞、村の児の小鮒を逐廻している溝川、竹籬、薮椿の落ちはららいでいる、
小禽のちらつく、何ということも無い田舎路ではあるが、ある点を見出しては、いいネエ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
、それに至って健康でございましたから、私の処女時代は、全く苦労知らずの、丁度春の
小禽そのまま、楽しいのんびりした空気に浸っていたのでございます。私の幼い時分には....
「私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
、生きるためには莫大な生活資料が要る。いわば生活費がかさむのである。これに反して
小禽小獣の類は生活が簡単で、ごく僅かの生活資料で生活し、繁殖して行く、私はこの理....
「時 処 人」より 著者:岸田国士
美人というものに出会つたことがないわけだ。 彼の料理法の一例に―― よく肥えた
小禽をクチバシのところでつまんで少々塩にまぶし、砂嚢を抜き、上手に口の中に入れ、....
「桜花を詠める句」より 著者:杉田久女
束ねた柴が、落花をあびて置き去られたまま、あたりに杣の影もなく、木深いところから
小禽のねがきこえてくるばかりだった。 智月の「山桜ちるや」の句もかかるもの静か....
「画室談義」より 著者:上村松園
樫の木、藤の棚、ゆすら梅、山吹きなどが囲んでいて、その間から母屋の中庭にかけては
小禽たちの鳥舎、兎、鶏からさては狐小舎までが散在していて、私や松篁にとっては写生....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
は頻に考えた。 七兵衛が去った後の裏庭は閑静であった。旭日の紅い樹の枝に折々|
小禽の啼く声が聞えた。差したる風も無いに、落葉は相変らずがさがさと舞って飛んだ。....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
後は左方に渺茫たる北極海を望み、右方に屹立せる絶壁を見て北走するに、崖下に無数の
小禽の上下するあり、あたかも群蝶の風に舞うがごとし。風光荒涼、自然に北極に近づき....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
ち静寂な趣に変ってゆく。仰いで大空を蔽う松葉を眺めると、その間に小さな豆のような
小禽が囀りながら虫をあさっている。豆のような
小禽とはいうものの枳殻の実ほどはある....