小草[語句情報] » 小草

「小草〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

小草の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
なくても僕が暖めてやる」 それは、咳嗽菽豆《くしゃみそらまめ》に似た清潔好きな小草で、塵《ごみ》がはいると咳嗽《くしゃみ》のようなガスをだす。そして、いきんだ....
蘆声」より 著者:幸田露伴
畚にそれを入れて、川柳の細い枝を折取って跳出さぬように押え蔽った少年は、その手を小草でふきながら予の方を見て、 小父さん、また餌をくれる? と如何にも欲しそう....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
害はそんなところに潜んでいた。角十ではそれがはなはだしかったのだ。その年の八月、小草山の口明けの日から三日にわたって、金兵衛は毎日のように双方の間に立って調停を....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
いた。将軍家の没落もいよいよ事実となってあらわれて来たころは、この山家ではもはや小草山の口明けの季節を迎えていた。 「半蔵、江戸のお城はこの十一日に明け渡しにな....
四日間」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
伏臥になって居るらしいのだがな、眼に遮ぎるものと云っては、唯|掌大の地面ばかり。小草が数本に、その一本を伝わって倒に這降りる蟻に、去年の枯草のこれが筐とも見える....
雁坂越」より 著者:幸田露伴
遅くなった。で、やがて娘は路――路といっても人の足の踏む分だけを残して両方からは小草が埋めている糸筋ほどの路へ出て、その狭い路を源三と一緒に仲好く肩を駢べて去っ....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
蔦屋)とある。 「これだ。」 密と、下へ屈むようにしてその御神燈を※すと、他に小草の影は無い、染次、と記した一葉のみ。で、それさえ、もと居たらしい芸妓の上へ貼....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
に颯と誘われて、いま二葉三葉散りかかる、折からの緋葉も灯れず、ぽかぽかと暖い磴の小草の日だまりに、あだ白けて、のびれば欠伸、縮むと、嚔をしそうで可笑しい。 辻....
星女郎」より 著者:泉鏡花
て立つと、衣の模様の白い花、撫子の俤も、一目の時より際立って、伏隠れた膚の色の、小草に搦んで乱れた有様。 手に触ると、よし蛇の衣とも変らば化れ、熱いと云っても....
香魚と水質」より 著者:佐藤垢石
も過ぎると、奥山の深い谿々の底には、もう冷涼の気が忍びやかにうかがい寄って、崖の小草を悲しませる。そして、里川の水は、日中は何とも感じないけれど、朝夕は人の肌に....
楢の若葉」より 著者:佐藤垢石
を顧みて言った。もう朝の陽は一ひろほども空へ昇っていた。晩春の朝の微風が、砂丘の小草の若葉を撫でながら渡ってきて、糸の目印の羽毛をひらひらと動かす。 みぎわの....
アッタレーア・プリンケプス」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
わくはそんなにがんじょうなんだから、いっそ引きさがった方がよくはなくって?」と、小草はしゅろにききました。 「痛いですって? 自由の天地へ出ようという一念の前に....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
這わせて歩行いた。 彼処に、尾花が十穂ばかり、例のおなじような兀げた丘の腹に、小草もないのに、すっきりと一輪咲いて、丈も高く莟さえある……その竜胆を、島田髷の....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
に緑苔の蝕するを見る。岩陰には雪なお累々たり。もし、山麓の海に浜せる地に至りては小草繁茂し、微花媚を呈し、すこぶる幽趣あり。当夕、風なくして温暖、水陸ともに寒暖....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
伸ぶる 章魚の足めく小枝なり。鼠あり。 毛の色ちゞに変れるが、群なして 苔の上、小草の上を馳す。 群毎にひたと寄りこぞりて 飛び行く蛍は、 人迷はせの導きせんと....