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「小荷物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

小荷物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
《バース》を取りつけたり、洗面台を据えたりしてあるその間に、窮屈に積み重ねられた小荷物を見回しながら、帯を解き始めた。化粧鏡の付いた箪笥《たんす》の上には、果物....
新生」より 著者:島崎藤村
って通る召集された市民の群はその窓の外に続いた。いずれも鳥打帽子を冠《かぶ》り、小荷物を提《さ》げ、仏蘭西の国歌を歌って、並木のかげに立つ婦子供《おんなこども》....
田舎教師」より 著者:田山花袋
て見えた。田には大根の葉がひたと捨てられてあった。 月の中ごろに、母親から来た小荷物には、毛糸のシャツがはいっていた。手紙には「寒さ激しく御座候|間あまり寒き....
伸子」より 著者:宮本百合子
棒があがる時、伸子はもう一遍、水のまかれた日光のささない三和土《たたき》の上で、小荷物運搬の手押車をよけよけかたまっている疎《まだら》な群集の中を物色した。佃そ....
みちの記」より 著者:森鴎外
同行者とは問わずして、日本服のものはもらすことなかりき。また豊野の停車場にては、小荷物|預けんといいしに、聞届けがたしと、官員がほしていいしを、痛く責めしに、後....
乳色の靄」より 著者:葉山嘉樹
かった。そして、両方の巡査に注意しながらも、フォームを見た。 改札口でなしに、小荷物口の方に向って、三四十人の人の群が、口々に喚き、罵り、殴り、髪の毛を引っ掴....
男女交際より家庭生活へ」より 著者:宮本百合子
が相容れないためもう最後の一歩と云う点で失望に終るもの等、一方、軽々しく、まるで小荷物の郵送でもするような結婚があると思えば、他方には、苦しい、深刻な場面が展開....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
え身の上なんだ、さあ、出かけよう。 身の廻り、といっても、杖と笠と、ふり分けの小荷物|一対《いっつい》。 忙がわしく身づくろいしてみた米友には、今の時刻が、....
丹下左膳」より 著者:林不忘
たったかと思うと、旅仕度に身をかためたお店者《たなもの》らしい若い男が、振分けの小荷物を肩に、道中差しの短い刀をめちゃくちゃにふりまわしながら鼠のようにこっちへ....
東上記」より 著者:寺田寅彦
を線路に沿うて行く。道傍の氷店に入ってラムネ一瓶に夜来の渇望も満たしたればこゝに小荷物を預けて楠公祠まで行きたり。亀の遊ぶのを見たりとて面白くもなし湊川へ行て見....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
は荷物もってゆくつもりで例によってどたん場まで愚図愚図して居たら、一昨日以来一般小荷物受付中止で、家じゅうひっちらかしたまま、自分のふとんさえしまわず行ってしま....
田舎医師の子」より 著者:相馬泰三
の中に石竹の真紅な花がおびただしく挿し込まれてあった。そして彼の革鞄や、その他の小荷物やが部屋の一隅にすでに運び置かれてあった。 「素敵だね。まったくいい部屋だ....
落語・教祖列伝」より 著者:坂口安吾
キンカの野郎は、痩せッポチで弱虫である。日に何度となくアネサに掴みあげられて小荷物のような取扱いをうけても、亭主とあれば是非もない。ここに困ったのは、馬吉と....
釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
旦那様、ただ今!」あわただしく駈け込んで来た若い男。手甲脚絆に草鞋に合羽、振分の小荷物が薄汚れて、月代《さかやき》の伸び按配も長旅の終りと読める。肩で息して首を....
木綿以前の事」より 著者:柳田国男
今も女たちの旅に出る国であった。絣の仕事着に足ごしらえ甲斐々々しく、菅の褄折笠と小荷物を引き背負うて、薬を売ってあるく娘どもは、あまりに眼の前のことだから批判も....