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小菊
「小菊〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
小菊の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
様でございます」 美人は軽《かろ》く会釈するとともに、その手は帯の間に入りぬ。
小菊にて上包みせる緋塩瀬《ひしおぜ》の紙入れを開きて、渠はむぞうさに半円銀貨を投....
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
年頃の渋いつくりの女」に出逢《であ》って、その女が十年前に自分と死のうと約束した
小菊《こぎく》という芸者であったことを述べている。この場合、その女のもっていた昔....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ながらその顔をのぞき込まれて、お登久は少し酔っている顔をいよいよ紅くした。彼女は
小菊の紙でくちびるのあたりを掩いながら俯向いていた。 「おい、師匠。野暮に堅くな....
「恋愛曲線」より 著者:小酒井不木
じを与えるものだ。切出された心臓は立派な一個の生物だ。薔薇のような紅い地色に黄の
小菊の花弁を散らしたような肉体を持つ魔性の生物は、渚に泳ぎ寄る水母のように、収縮....
「不尽の高根」より 著者:小島烏水
わせる名が、筆太にしたためた二尺大の表札の上に読まれる、大文司、仙元房、大注連、
小菊、中雁丸、元祖|身禄宿坊、そういった名が、次ぎ次ぎに目をひく。宿坊の造りは一....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
《えびす》の刺青のある小頭の蛭子三郎次である。 「それじゃアどこかに血で書いた、
小菊の紙が落ちていなけりゃアならねえ」こう云ったのは十七、八の前髪のある男である....
「錦染滝白糸」より 著者:泉鏡花
おその、おりく(ともに近所の娘) 撫子。円髷、前垂がけ、床の間の花籠に、黄の
小菊と白菊の大輪なるを莟まじり投入れにしたるを視め、手に三本ばかり常夏の花を持つ....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
。題して曰く、臨風榜可小楼。 「……とある、いかさまな。」 「床に活けたは、白の
小菊じゃ、一束にして掴みざし、喝采。」と讃める。 「いや、翁寂びた事を言うわ。」....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
いや、湯女に見惚れていて、肝心の御婦人が後れました。もう一人の方は、山茶花と
小菊の花の飛模様のコオトを着て、白地の手拭を吹流しの……妙な拵だと思えば……道理....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
、剣のごとく聳えたのは、巨船天を摩す柱に似て、屋根の浪の風なきに、泡の沫か、白い
小菊が、ちらちらと日に輝く。白金の草は深けれども、君が住居と思えばよしや、玉の台....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
衣のお召で包むも惜しい、色の清く白いのが、片手に、お京――その母の墓へ手向ける、
小菊の黄菊と白菊と、あれは侘しくて、こちこちと寂しいが、土地がら、今時はお定りの....
「光は影を」より 著者:岸田国士
顔なじみらしく、親しげな口を利いていた。 「なあ、この男は、いつかどこかで会つた
小菊つていう芸者にどうしても会いたいつていうんだよ。なんとかしてやつてくれ。ちよ....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
に掛っている事は、渠が小児の時に見知ったのも、今もかわりはない。緒に結んだ状に、
小菊まじりに、俗に坊さん花というのを挿して供えたのが――あやめ草あしに結ばむ――....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
の空は菊の薄雲。 ただそれよりもしおらしいのは、お夏が宿の庭に咲いた、初元結の
小菊の紫。蝶の翼の狩衣して、※子に据えた机の前、縁の彼方に彳む風情。月出でたらば....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
花野は幻になった、水より日向がたよりらしい、軒に釣した坊さん華に、葉の枯れがれの
小菊を交ぜて、ほとけ様は五人と、八郎が云って、五|把、線香を買添えた時「あんやと....