小袿[語句情報] » 小袿

「小袿〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

小袿の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
は誰じゃ。明かされぬか」 「お身さまの前では申し上げられませぬ」と、玉藻は藤紫の小袿《こうちぎ》の袖で切《せつ》ない胸をかかえるように俯向いた。嵐は桜の梢をゆす....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
のごとき竜馬に乗せらる。およそ手綱の丈を隔てて、一人|下髪の女房。旅扮装。素足、小袿に褄端折りて、片手に市女笠を携え、片手に蓮華燈籠を提ぐ。第一点の燈の影はこれ....
南地心中」より 著者:泉鏡花
九 宝の市の屋台に付いて、市女また姫とも称うる十二人の美女が練る。…… 練衣小袿の紅の袴、とばかりでは言足らぬ。ただその上下を装束くにも、支度の夜は丑満頃よ....
曠野」より 著者:堀辰雄
と耳打ちをした。 その夜遅く、京の女は郡司のもとに招ぜられた。郡司は女に一枚の小袿《こうちぎ》を与えて、髪なども梳《す》いて、よく化粧してくるようにと言いつけ....
源氏物語」より 著者:紫式部
にしていたからすっかり見えた。白い薄衣《うすもの》の単衣襲に淡藍《うすあい》色の小袿《こうちぎ》らしいものを引きかけて、紅《あか》い袴《はかま》の紐《ひも》の結....
源氏物語」より 著者:紫式部
する。贈り物の使いは帰ってしまったが、そのあとで空蝉は小君《こぎみ》を使いにして小袿《こうちぎ》の返歌だけをした。 蝉の羽もたち変へてける夏ごろもかへすを見て....
源氏物語」より 著者:紫式部
紅の色、紫、山吹《やまぶき》の落ち着いた色などで、そして地質のきわめてよい織物の小袿《こうちぎ》を着た元日の紫の女王は、急に近代的な美人になったようである。源氏....
源氏物語」より 著者:紫式部
ておいでになる方であるが、髪で額を隠して、お化粧もきれいにあそばされ、はなやかな小袿《こうちぎ》などにもお召しかえになる。子ながらも晴れがましくお思われになる大....
源氏物語」より 著者:紫式部
したが、その時にほうぼうの織物師が力いっぱいに念を入れて作り出した厚織物の細長や小袿《こうちぎ》の仕立てたのを源氏は手もとへ取り寄せて見た。 「非常にたくさんあ....
源氏物語」より 著者:紫式部
からである。陰気な黒ずんだ赤の掻練の糊気の強い一かさねの上に、贈られた柳の織物の小袿を着ているのが寒そうで気の毒であった。重ねに仕立てさせる服地も贈られたのであ....
源氏物語」より 著者:紫式部
と源氏が言っている間、顔を横向けていた玉鬘の側面が美しく見えた。派手な薄色の小袿に撫子色の細長を着ている取り合わせも若々しい感じがした。身の取りなしなどに難....
源氏物語」より 著者:紫式部
きながら縁に近い所へ出ていたが、人払いの声がしたので、平常着の上へ棹からおろした小袿を掛けて出迎えた。こんな急な場合にも敬意を表することを忘れない所にこの人の性....
源氏物語」より 著者:紫式部
長、落栗色とか何とかいって昔の女が珍重した色合いの袴一具、紫が白けて見える霰地の小袿、これをよい衣裳箱に入れて、たいそうな包み方もして玉鬘へ贈って来た。手紙には....
錦木」より 著者:宮本百合子
すでしょう」 と年かさの女は答えた。 「お前方のなった尼さんは黒い着物の下に赤の小袿をかくして髪を巻き込んでおく位のものだろう。私が死んでしまった時にほんとうの....
平家蟹」より 著者:岡本綺堂
はつぶやきつつ去る。雨の音さびしく、奥より玉虫は以前とかわりし白の着附、緋の袴、小袿にて、檀扇を持ちていず。遠寺の鐘の声きこゆ。玉虫は鐘の音を指折りかぞえて独り....