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小褄
「小褄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
小褄の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「黒髪」より 著者:近松秋江
のを惜しんでいた。座敷から見渡すと向うの河原の芝生が真青に萌え出でて、そちらにも
小褄などをとった美しい女たちが笑い興じている声が、花やかに聞えてきたりした。彼女....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
逢いはせぬ。
木下蔭《このしたかげ》の暗がりで、長裾《すそ》をぐっと引き上げ、
小褄《こづま》をからげ、お高祖頭巾をまぶかにして帯の間に手をやると、師匠が返して....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
立ち上がった姿を見れば、手に小脇差しを引っ下げている。ベットリと血に濡れている。
小褄をキリキリと取り上げている。その下から見えるのは、緋縮緬の長襦袢で、その裾か....
「鷭狩」より 著者:泉鏡花
なかった――紅鼻緒の草履に、白い爪さきも見えつつ、廊下を導いてくれるのであろう。
小褄を取った手に、黒繻子の襟が緩い。胸が少しはだかって、褄を引揚げたなりに乱れて....
「古狢」より 著者:泉鏡花
情のあるのは、日が暮れると、竹の柄の小提灯で、松の中の径を送出すのだそうである。
小褄の色が露に辷って、こぼれ松葉へ映るのは、どんなにか媚かしかろうと思う。 「―....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
六分珠をおさえながら、思わず膠についたように、足首からむずむずして、爪立ったなり
小褄を取って上げたのは、謙斎の話の舌とともに、蛞蝓のあとを踏んだからで、スリッパ....
「元禄時代小説第一巻「本朝二十不孝」ぬきほ(言文一致訳)」より 著者:井原西鶴
の事を云った。 旅行の暮の僧にて候 雪やこんこん、あられやこんこんと
小褄にためて里の小娘は嵐の吹く松の下に集って脇明から入って来る風のさむいのもかま....
「南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
「おいでなされ!」 と走り出た。続いて民弥も女ながら、一所懸命の場合である。
小褄を取ると嗜の懐刀、懐中へ入れるのも忙しく、後に続いて走り出た。 15 ここ....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
笹の宿へ入っても、中庭の縁に添って咲いていたと申しましたっけ。 ――杜若の花を
小褄に、欠盥で洗濯をしている、束ね髪で、窶々しいが、(その姿のゆうにやさしく、色....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
を其方に向けて、じりじりと寄るのを避けもしないで、かえって、膝掛を取って外すと、
小褄も乱さず身を軽く、ひらりと下に下り立ったが。 紺地に白茶で矢筈の細い、お召....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
昨日は大きな鮒を料理りましたから。」 持てとも言わず、角樽を柳の枝に預けると、
小褄をぐい、と取った緊った足の白いこと。――姿も婀娜に、流へ張出しの板を踏むと、....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
する注意だと思ったように、ポカンと渡すと、引取るが疾いか、ぞろりと紅の褄を絞って
小褄をきりきりと引上げた。落葉が舞った。※を踏んで、手がその肩に掛った時、前髪の....
「活人形」より 著者:泉鏡花
た物ではない。どれ、藤を進げますから。と例の被を取除くれば、この人形は左の手にて
小褄を掻取り、右の手を上へ差伸べて被を支うるものにして、上げたる手にて飜る、綾羅....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
逃がしたほうの身代りに、斬らねば虫が納まるまい。 「あい、わたしのことですか?」
小褄を下ろした襟掛の婀娜女はどこまでも少し笑いを含んで、夏なら涼んでいるという形....