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「小走り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

小走りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
ず》いていた。 「じゃ甲野さん、ちょっとこちらへ。」 お鈴は甲野よりも一足先に小走りに廊下を急いで行った。丁度雪の残った棕櫚《しゅろ》の葉の上には鶺鴒《せきれ....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
暴に通りぬけながら、いきなり店へ行こうとすると、出合い頭《がしら》に向うからも、小走りに美津《みつ》が走って来た。二人はまともにぶつかる所を、やっと両方へ身を躱....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
ずまず、無暗《むやみ》に足ばかり早め出しました。ですから泰さんは遅れ勝ちで、始終小走りに追いついては、さも気忙《きぜわ》しそうに汗を拭いていましたが、その内にと....
卑怯者」より 著者:有島武郎
てもう一度なんとかして自分の失敗を彌縫《びほう》する試みでもしようと思ったのか、小走りに車の手前まで駈けて来て、そこに黙《だま》ったまま立ち停った。そしてきょろ....
超人間X号」より 著者:海野十三
は逃げることができないはず。とにかく組立室へ行ってみれば分かると、X号はそちらへ小走りに走っていった。 そこでは、起重機から、だらりと綱がぶらさがっているだけ....
地球要塞」より 著者:海野十三
かけよう。オルガ姫、魚雷型快速潜水艇の入口をあけておけ」 「はい」 オルガ姫は小走りに、すっ飛ぶようにして、廊下を駈けだしていった。 私は出発にのぞみ、三角....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
人の英人が、手に一枚の紙片を握り、顔の色をかえて、リット少将のいる塔の方へ甲板を小走りにやってきた。 塔の入口に駈けこもうとしたとき、いきなり英国士官の頭の上....
南地心中」より 著者:泉鏡花
ら斉眉いて来ている奴であった。 「可いかい。」 「はい。」と言いさま、はらはらと小走りに、もとの廊下へ一度出て、その中庭を角にした、向うの襖をすらりと開けると、....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
ように、ずずずずずと下りて行く。 「えらいぞ、権太、怪我をするな。」 と、髯が小走りに、土手の方から後へ下りる。 「俺だって、出来ねえ事はなかったい、遠慮をし....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
ら一歩を移せし舞の師匠は振返りつ。冴かなる眼にキトわれを見しが、互に肩を擦合せて小走りに入るよとせしに、つかつかと引返して、冷たき衣の袖もてわが頸を抱くや否や、....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
石になって、と気の遠くなった時、はっと足が出て、風が出て、婦人は軒を離れて出た。小走りに急いで来る、青葉の中に寄る浪のはらはらと爪尖白く、濃い黒髪の房やかな双の....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
にならんだのとそっくりなのに、聾桟敷一驚を吃する処に、一度姿を消した舞妓が一人、小走りに駆け戻るのと、花道の、七三とかいうあたりで、ひったり出会う。何でもお客が....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
緋めれんすの蹴出しで島田髷の娘が、すたすたと、向うの吹上げの池を廻る処を、お悦が小走りに衝と追って、四阿屋がかりの茶屋の軒下に立つと、しばらくして蛇の目を一本。....
今日になるまで」より 著者:上村松園
陳列しますからこの機会を逃さず、写生帖を持って美しく着飾って歩いている人達の間を小走りに通りぬけて、次から次へ写してゆきました。塾生の間に松園の写生帖と言って評....
快走」より 著者:岡本かの子
れた、淋しいがしかも厳粛な世界に生きているという感じだった。 道子は着物を着て小走りに表通りのお湯屋へ来た。湯につかって汗を流すとき、初めてまたもとの人間界に....