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小障子
「小障子〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
小障子の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ヰタ・セクスアリス」より 著者:森鴎外
を締めている。食物店の行燈《あんどん》や、蝋燭なんぞを売る家の板戸に嵌《は》めた
小障子に移る明りが、おりおり見えて、それが逆に後へ走るかと思うようだ。往来の人は....
「新生」より 著者:島崎藤村
る。玄関がある。往来に面して鉄の格子《こうし》の嵌《はま》った窓がある。日の光は
小障子を通して窓の下の机や本箱の置いてあるところへ射し入っている。そこが岸本の上....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
屋の坂も暗い。宿場の両側に並ぶ家々の戸も閉まって、それぞれの屋号をしるした門口の
小障子からはわずかに燈火がもれている。ともかくも無事に半蔵が自分の家の本陣へ帰り....
「家」より 著者:島崎藤村
の大きな、古風な、どこか厳しい屋造の内へ静かな光線を導くものは、高い明窓で、その
小障子の開いたところから青く透き徹るような空が見える。 「カルサン」という労働の....
「家」より 著者:島崎藤村
てあって、そこから空気を導くようになっている。青白い、疲れた光線は、人知れずその
小障子のところへ映っていた。正太はそれを夢のように眺めた。 夕飯はお雪の手づく....
「嵐」より 著者:島崎藤村
。窓が二つある。その一つからは、小高い石垣と板塀とを境に、北隣の家の茶の間の白い
小障子まで見える。三郎はよくその窓へ行った。遠い郷里のほうの木曽川の音や少年時代....
「伸子」より 著者:宮本百合子
をかぶせて、テーブルを拵えた。廊下の外は庭、その奥は畑であった。障子についている
小障子をあけると、庭と畑とを区切っている低い草堤と勢いよい梅の並木の一部分が眺め....
「農村」より 著者:宮本百合子
て眠られない私はきっと、この風の音に眼をさまされたのだろう。障子のガラスについた
小障子をあけて雨戸のガラスをすかして見ると、灰を吹きつける様に白い粉が吹きつける....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
工合など。南も北もからりとあけた二階で、ものを干したりしていると、風にカタカタと
小障子の鳴る音がして、それはまぎれもない秋日和の感じです。昨夜なども面白い夜でし....
「ヘヤーピン一本」より 著者:豊島与志雄
行った。そして宿屋の帳場の前に立った。 「頼みます。誰かいませんか。」 帳場の
小障子が開いて、年増の女中が顔を出した。 「願います。寒くて眠くて、どうにもなら....
「小説 円朝」より 著者:正岡容
なって圓朝は、この間内《あいだうち》から貼りかえたいろいろさまざまの障子のような
小障子のようなものへ、河岸の景色を、藪畳を、廓《よしわら》を、大広間を、侘住居《....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
と竹と茅と板とで出来ている。そして柱は附近の丸木である。 その家の中の壁とか、
小障子とかに、ほんのわずかばかり使用されている反古紙が、ひどく貴重に見え、また、....
「無宿人国記」より 著者:吉川英治
ずかな間でも、禄を食んだ旧主の声を、忘れる奴があろうか」 舷に、身を這わせて、
小障子の隙間から、中を覗いていた一角は、途端に、 「あっ、しまったッ」 弾かれ....