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「小雨〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

小雨の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
いましょうか。それから二三度、御消息を御取り交《かわ》せになった後、とうとうある小雨《こさめ》の降る夜、若殿様は私の甥を御供に召して、もう葉柳の陰に埋もれた、西....
忠義」より 著者:芥川竜之介
り考え事に耽っていた。宇左衛門の顔を見ても、口を利《き》かない。いや、ただ一度、小雨《こさめ》のふる日に、時鳥《ほととぎす》の啼く声を聞いて、「あれは鶯の巣をぬ....
或る女」より 著者:有島武郎
事を思った。と、すぐそのそばから若者を小わきにかかえた事務長の姿が思い出された。小雨の中を、外套《がいとう》も着ずに、小荷物でも運んで行ったように若者を桟橋の上....
クララの出家」より 著者:有島武郎
ら、いたわるように祝福するように、彼女の頭に軽く手を置いて間遠につぶやき始めた。小雨の雨垂れのようにその言葉は、清く、小さく鋭く、クララの心をうった。 「何より....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
包ましやかに、薄藤色の半襟を、面痩せた、が、色の白い顋で圧えて云う。 その時、小雨の夜の路地裏の待合で、述懐しつつ、恥らったのが、夕顔の面影ならず、膚を包んだ....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
燵に据えて、いとせめて親を思出す。千束の寮のやみの夜、おぼろの夜、そぼそぼとふる小雨の夜、狐の声もしみじみと可懐い折から、「伊作、伊作」と女の音で、扉で呼ぶ。 ....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
けれど、その……年暮の稼ぎに、ここに働いている時も、昼すぎ三時頃――、ちょうど、小雨の晴れた薄靄に包まれて、向う邸の紅い山茶花が覗かれる、銀杏の葉の真黄色なのが....
黒百合」より 著者:泉鏡花
年の老樹の由。 髪を掴んで釣し下げた女の顔の形をした、ぶらり火というのが、今も小雨の降る夜が更けると、樹の股に懸るというから、縁起を祝う夜商人は忌み憚って、こ....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
神でも、人間でも、その法則に背いては何事もできぬ。念力は無論大切で、念力なしには小雨一つ降らせることもできぬが、しかしその念力は、何は措いても自然の法則に協うこ....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
ら水の落口の、きれいな小砂利の上に、巌の根に留まって、きらきら水が光って、もし、小雨のようにさします朝晴の日の影に、あたりの小砂利は五色に見えます。これは、その....
春昼後刻」より 著者:泉鏡花
ました。 御新姐は、気分が勝れねえとって、二階に寝てござらしけえ。 今しがた小雨が降って、お天気が上ると、お前様、雨よりは大きい紅色の露がぽったりぽったりす....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
きで不行儀に突立つと屏風の前を一跨、直に台所へ出ると、荒縄には秋の草のみだれ咲、小雨が降るかと霧かかって、帯の端|衣服の裾をしたしたと落つる雫も、萌黄の露、紫の....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
れて消えました。 ほんとうに降って来た。私は、いつか橋を渡っていたのです。――小雨に、じっとりとなった、と思ったのは、冷い寝汗で。……私はハッと目が覚めました....
活人形」より 著者:泉鏡花
避暑に来てでございますが、その風説を聞いて、一番妖物退治をしてやろうというので、小雨の降る夜二人連で出掛けました。草ぼうぼうと茂った庭へ入り込んで、がさがさ騒い....
茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
る。時とすると秋天の変り易い天候が忽ちの間に四辺をかき曇らせ、見る見る霧のような小雨を運んで来ることもある。寒冷の気が俄に肌を掠めて来る。路の辺に紅の玉をつけた....