小駅[語句情報] » 小駅

「小駅〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

小駅の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
火の鳥」より 著者:太宰治
である。故郷のまちの二つ手前の駅で、伯父とさちよは、こっそり下車した。その山間の小駅から、くねくね曲った山路を馬車にゆられて、約二十分、谷間の温泉場に到着した。....
」より 著者:島木健作
せずにはいられない旨《うま》さで思い出された。彼はそれをS市をすぎて間もなくある小駅に汽車が着いた時に与えられ、汽車中の衆人の環視のなかでがつがつとした思いで貪....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
よりほかに半蔵としてはよい方法も見当たらなかったくらいだ。ところが、この峠の上の小駅は家ごとに御用宿で、役人を休息させる場処もなかった。その一夜の泊まりは金兵衛....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
ほどの道を歩いた。大湫は伊勢参宮または名古屋への別れ道に当たる鄙びた宿場で、その小駅から東は美濃らしい盆地へと降りて行くばかりだ。三里半の十三峠を越せば大井の宿....
空襲警報」より 著者:海野十三
なく駅の前に出ることができた。それは春日山駅といって、直江津と高田との中間にある小駅だった。ちょうど東京方面へゆく列車が出ようという間ぎわだった。町を守らねばな....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
トの首府。東洋と西洋の奇妙なカクテルがぷんぷん香っている。 スリュジャンカ――小駅。バイカル湖風景車窓に展開し出す。 バイカル――四十六の隧道。水色美とハヒ....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
つひとつに君は自分を見出すだろう。そうしてそれらに君じしんの姿を見た以上、山間の小駅も廃墟のような田舎町も、枕木の黄色い花も、しっくりと旅のこころに解けあって、....
ドナウ源流行」より 著者:斎藤茂吉
だろう。 僕は午後四時二十五分発の汽車に乗ってウルムを立って西へ向った。汽車は小駅にも一々停るので、非常にのろい様な気がする。発車してから暫く窓外を見ていたが....
雪霊続記」より 著者:泉鏡花
へ留ったのです。強いて一町場ぐらいは前進出来ない事はない。が、そうすると、深山の小駅ですから、旅舎にも食料にも、乗客に対する設備が不足で、危険であるからとの事で....
火の扉」より 著者:岸田国士
れて、一方はI市の南側をまわつてE村に、一方は広い堤防の上に出てM村の八幡という小駅に通じていた。 北原ミユキはその駅から電車に乗るつもりであつた。が、市ノ瀬....
」より 著者:織田作之助
来る気配もない。すくない乗客はたいてい一つ手前の駅で降りてしまうので、その寂しい小駅に降り立つ人影は跫音もせぬくらいまばらである。たった一人の時さえ稀らしくなく....
飢餓地帯を歩く」より 著者:下村千秋
堂村という部落へ入って行った。ここは、盛岡市から北へ一時間ほど乗り、沼宮内という小駅で降りて、更らに徒歩で一里近く山手に入った所である。 空は晴れたり曇ったり....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
、曇り(満月)。早朝寓所を出でて、車行二十九マイル、ヒールズビル村に至る。山間の小駅なり。メルボルンよりここに至り、はじめて渓山を見る。山上に登躋すれば、ビクト....
金山揷話」より 著者:大鹿卓
ったかんじだった。私は何か憂愁を帯びた顔つきになっていたらしい。折から汽車が山の小駅を通過すると、 「ああ、銀山だ。この辺は吹雪の多いところだ。十二月になると時....
オスカー・ブロズキー事件」より 著者:妹尾アキ夫
話すことにしよう。 ソーンダイクと私が、たった二人で喫煙室にすわって、ラダムの小駅にさしかかった頃には、十月の日が暮れかかっていた。汽車がとまると、私たちは窓....