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「小鬢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

小鬢の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
けたのであろう。月明かりにすかして見ると、赤黒いものが一すじ、汗ににじんで、左の小鬢《こびん》から流れている。が、死に身になった次郎には、その痛みも気にならない....
籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
い心持ちを見せていた。治六は煙りのゆくえを見るともなしに眺めていた。寒い風が彼の小鬢《こびん》を吹いた。 五 その頃の大音寺まえは人の家もまばらであ....
心中浪華の春雨」より 著者:岡本綺堂
を送るうちに、彼もさすがに故郷が恋しくなった。彼ももう四十を越して、鏡にむかって小鬢《こびん》の白い糸を見いだした時に、故郷に捨てて来た女房や伜がそぞろに懐かし....
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
をかけたかと思うと、闇にきらめいた切っ先は兼輔の烏帽子をはたと打ち落として、その小鬢《こびん》を斜めにかすった。 「わッ、人殺しじゃ」 その声の消えないうちに....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
をしらべて、すっかり判りました。贋物を売った古道具屋は御成道の横町で、亭主は左の小鬢《こびん》に禿《はげ》があるそうです」 四 師走の町の寒い風に吹....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
なま血が流れ出していた。飛びあがって来たときに、その顔をも蹴られたと見えて、左の小鬢にも血がしたたっていた。銀杏返しの鬢の毛は羽風にあおられて、掻きむしられたよ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
けると申しますものですから、その上にくわしくも詮議いたしませんで……」と、利八は小鬢をかきながら答えた。 「その後、そのお熊になにも変った様子はないんですね」 ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ただ寅吉とばかりで、その商売までは知っている者がねえので困りました」と、三五郎は小鬢をかいた。 「ロイドと一緒に岩亀に入りびたっていたようじゃあ、勝蔵にも馴染の....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
「どうも思うように出来ないので甚だ延引、なんとも申し訳がありません」と、澹山は小鬢をかいた。「頼まれたお方が余人でないので、せいぜい腕を揮おうと思っているので....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
、ごしごし掻きながら、しとやかな夫人を取り戻す心の沈静に努める様子だったが、額の小鬢には疳の筋がぴくりぴくり動いた。小鼻の皮肉な皺は窪まった。 かの女は目前の....
みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
、蔭の片袖が悚然とした。一度、しかとしめて拱いた腕を解いて、やや震える手さきを、小鬢に密と触れると、喟然として面を暗うしたのであった。 日南に霜が散ったように....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
釣棹を、ト肩にかけた、処士あり。年紀のころ三十四五。五分刈のなだらかなるが、小鬢さきへ少し兀げた、額の広い、目のやさしい、眉の太い、引緊った口の、やや大きい....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
た。『斯うかけ離れて住んで居ては、看護に手が届かんで困るのじゃが……。』めっきり小鬢に白いものが混るようになった父は、そんな事を申して何やら深い思案に暮れるので....
豆腐買い」より 著者:岡本かの子
里の郊外にも電柱はあったが道筋の家の壁や屋根を借りて取り付けたもので長さも小さく小鬢に笄を挿したほどの恰好だ。ヴェルサイユへ行く道の退屈さに自動車の窓から眺めて....
扉の彼方へ」より 著者:岡本かの子
の悲劇はどういうことから起りましたの」 すると、及川はぐっと口を結んだが、額の小鬢には興奮の血管が太く二三筋現れました。けれどやがてその興奮をも強く圧えてから....