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「小鮒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

小鮒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
に小さい凧《たこ》の影が二つ三つかかっていた。堤したの田川の水も春の日に輝いて、小鮒《こぶな》をすくっている子供の網までがきらきらと光って見えた。稽古のために空....
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
るので、水と人とはこの草むらを挟んで別々にかよっていた。それでも蟹を拾う子供や、小鮒《こぶな》をすくう人たちが、水と陸とのあいだの通路を作るために、薄や蘆を押し....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
の大きい椎《しい》の木がもう眼の前に近づいた頃に、堤下の田圃で泥鰌《どじょう》か小鮒をすくっている子供らの声がきこえた。 「やあ、ここに人が死んでいる」 「死ん....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
街道から右へ切れると、そこらには田畑が多かった。細い田川も流れていた。その田川で小鮒でもあさっているらしい子供に教えられて、金造の家はすぐに知れた。むさし屋の女....
義民甚兵衛」より 著者:菊池寛
え方じゃぞ。 およし そうかな。 甚三 この近所じゃ、銘々で取り尽して、川には、小鮒一つやて、おりゃせんわ。山には、山の芋どころか、のびるだって、余計は残ってお....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
ぶりのお天気に、おらら沼から出たでしゅ。崖を下りて、あの浜の竃巌へ。――神職様、小鮒、鰌に腹がくちい、貝も小蟹も欲しゅう思わんでございましゅから、白い浪の打ちか....
みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
処は、山の幸を得た誇を示す。……籠に、あの、ばさばさ群った葉の中に、鯰のような、小鮒のような、頭の大な茸がびちびち跳ねていそうなのが、温泉の町の方へずッと入った....
野道」より 著者:幸田露伴
へ行いた。 菜の花畠、麦の畠、そらまめの花、田境の榛の木を籠める遠霞、村の児の小鮒を逐廻している溝川、竹籬、薮椿の落ちはららいでいる、小禽のちらつく、何という....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
先生は見ざる真似して、少年が手に傾けた件の畚を横目に、 「生憎、沙魚、海津、小鮒などを商う魚屋がなくって困る。奥さんは何も知らず、銑太郎なお欺くべしじゃが、....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
から、枝豆の実る処、ちと稗蒔染みた考えで、深山大沢でない処は卑怯だけれど、鯨より小鮒です、白鷺、鶉、鷭、鶺鴒、皆な我々と知己のようで、閑古鳥よりは可懐い。 山....
南北の東海道四谷怪談」より 著者:田中貢太郎
の権兵衛」 話のうちに標がびくびく動きだした。伊右衛門はそれと見て竿をあげると小鮒がかかっていた。 「ああ、鮒か」 其のうちに他の標が動きだした。 「そりゃ....
次郎物語」より 著者:下村湖人
買って来て、戸棚にしまっておいたんです。」 「今日は大堀が干さるんで、午からだと小鮒と鰻が手にはいるんだがね。」 「あっ、そうそう、今日でしたね、大堀の干さるの....
わが童心」より 著者:佐藤垢石
たい想いだ。汽車の窓にうっとりとしているわが胸に幼き腕に笊を抱えて、田圃の小川に小鮒を漁った頃から、ついこの初夏に同盟休校をやって、校門を突き出されるまでの、さ....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
から名附けたのでしょう。それに混って雀焼屋があります。それはこの土地の名物です。小鮒の腹を裂いて裏返し、竹の小串に刺して附焼にしたもので、極く小さいのは幾つも並....
晩春」より 著者:岡本かの子
、彼女はしきりに瞬きをしながら堀の底を透かして見ようとする。 ただ一匹、たとえ小鮒でも見られさえすれば彼女は不思議と気持が納まり、胸の苦しさも消えるのだったが....