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「小麦色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

小麦色の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
火の鳥」より 著者:太宰治
微笑して、 「バスは、」 「ご随意に。」 風呂から出て、高野さちよは、健康な、小麦色の頬をしていた。乙彦は、どこかに電話をかけた。すぐ来い、という電話であった....
古典風」より 著者:太宰治
た。「アグリパイナは、ロオマの王者、カリギュラの妹君として生れた。漆黒の頭髪と、小麦色の頬と、痩せた鼻とを持った小柄の婦人であった。極端に吊りあがった二つの眼は....
オリンポスの果実」より 著者:田中英光
締《し》め、髪を左右に編んでお下げにしていました。化粧《けしょう》をしていない、小麦色の肌《はだ》が、ぼくにしっとりとした、落着きを与《あた》えてくれます。顔つ....
家霊」より 著者:岡本かの子
内側に斜めに帳場格子を控えて永らく女主人の母親の白い顔が見えた。今は娘のくめ子の小麦色の顔が見える。くめ子は小女の給仕振りや客席の様子を監督するために、ときどき....
銀座幽霊」より 著者:大阪圭吉
た二人の調和が、みるみる乱れて来た。澄子と呼ぶ二十を越したばかりのその女店員は、小麦色の血色のいい娘で、毬のようにはずみのいい体を持っていた。 煙草屋の夫婦喧....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
と云うほどではないが、円らな瞳と青磁に透いて見える眼隈と、それから張ち切れそうな小麦色の地肌とが、素晴らしく魅力的だった。葡萄色のアフタヌーンを着て、自分の方か....
伸子」より 著者:宮本百合子
」 と、赧くなって笑った。伸子も笑い出した。赧くなった素子の棗形《なつめがた》の小麦色のきめの滑らかな顔付に、ひどく稚い純な魅力を感じた。 「――あれ、全くつま....
泣虫小僧」より 著者:林芙美子
てまた来ます。義兄さんによろしく。大金が這入ったら、それこそ安香水でも買ってね」小麦色の合いの外套を引っかけた菅子の後から、啓吉は、眠た気な目をして、 「さよな....
斯ういう気持」より 著者:宮本百合子
をとって来て呉れって云ったんじゃあないから構わないってね」 照子は、痛快そうに小麦色の頬をゆるめて笑った。 ――照子の話を聞いて居るうちに、愛はこれ迄とまる....
華々しき瞬間」より 著者:久坂葉子
は男だったかしら)」 「どうして」 「何となく」 仁科六郎は両腕に力をいれて、小麦色の肩のあたりを無意識にかんだ。抱かれているのは南原杉子である。 「ねえ、ど....
若草物語」より 著者:オルコットルイーザ・メイ
もいくらか得意の白い手をしています。 十五になるジョウは、せいが高く、やせて、小麦色の肌をして、すらりと長い手足をもてあましているようすから、なんとなく仔馬を....
碑文」より 著者:豊島与志雄
ッキを手にしていました。崔冷紅は黒い薄絹の服をまとい、十七歳のすらりとした姿で、小麦色の頬にかすかな紅を呈し、母親譲りの長い眼をしばたたいていました。 「なにか....
聖女人像」より 著者:豊島与志雄
。彼女はいつも、濃い肌色の白粉をつけ、濃いめに口紅をつけている。私は最初、彼女の小麦色の頬と黒い瞳とに向って、口紅をぬったその唇にキスした。――固より、大抵の場....
坑鬼」より 著者:大阪圭吉
盤坑の中からワアーンと坑夫達のざわめきが聞えて来た。汗にまみれた運搬夫の女達が、小麦色の裸身をギラギラ光らして炭車を押出して来ると、技師は進み出て呶鳴りつけた。....
キャラコさん」より 著者:久生十蘭
仕方をするのか、唇などはいかにも自然な色に塗られ、頬はしっとりと落ちついた新鮮な小麦色をしている。頬に手をあてるだけの、そんな、ちょっとしたしぐさの中にも、相手....