少時[語句情報] » 少時

「少時〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

少時の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
ひょっとこ」より 著者:芥川竜之介
や云う人の声ばかりする。何しろ思いもよらない混雑が起ったのにちがいない。それから少時《しばらく》すると、赤い顔をした男が、幕の中から首を出して、さも狼狽したよう....
湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
きていた時には中々幅を利かしていたもんだよ。………」 譚は何か思い出したように少時《しばらく》口を噤《つぐ》んだまま、薄笑いばかり浮かべていた。が、やがて巻煙....
年末の一日」より 著者:芥川竜之介
幾分か僕の少年時代に抱いた師走《しわす》の心もちのよみ返るのを感じた。 僕等は少時《しばらく》待った後、護国寺《ごこくじ》前行の電車に乗った。電車は割り合いに....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
険である。所詮《しょせん》は人力を尽した後、天命に委《ま》かせるより仕方はない。少時学語苦難円 唯道工夫半未全 到老始知非力取 三分人事七分天 趙甌北《ちょ....
国貞えがく」より 著者:泉鏡花
、件《くだん》の小北の店を透かした。 此処《ここ》にまた立留《たちどま》って、少時《しばらく》猶予《ためら》っていたのである。 木格子《きごうし》の中に硝子....
婦系図」より 著者:泉鏡花
すのかよ。」 「ええ、別に、」と俯向いて怨めしそうに、三世相を揉み、且つ捻くる。少時して、酒井はふと歩を停めて、 「早瀬。」 「はい、」 とこの返事は嬉しそう....
海の使者」より 著者:泉鏡花
岩端や、ここにも一人、と、納涼台に掛けたように、其処に居て、さして来る汐を視めて少時経った。 下 水の面とすれすれに、むらむらと動くものあり。何....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
してやがて沈んだ。海の魔宮の侍女であろう。その消えた後も、人の目の幻に、船の帆は少時その萌黄の油を塗った。……「畳で言いますと」――話し手の若い人は見まわしたが....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
も人間より蝉に似ている。堂の屋根うらを飛んで、樹へ遁げたその形が。――そうして、少時して、青い顔の目ばかり樹の幹から出した処は、いよいよ似ている。 柳の影を素....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
…。』 × × × × それから少時の後、私達はまるで生れ変ったような、世にもうれしい、朗かな気分になって、右と....
トロッコ」より 著者:芥川竜之介
まわりをまわって見た。トロッコには頑丈な車台の板に、跳ねかえった泥が乾いていた。少時の後茶店を出て来しなに、巻煙草を耳に挟んだ男は、(その時はもう挟んでいなかっ....
多神教」より 著者:泉鏡花
を堂の縁下に差置き、御手洗にて水を掬い、鬢掻撫で、清き半巾を袂にし、階段の下に、少時ぬかずき拝む。静寂。きりきりきり、はたり。何処ともなく機織の音聞こゆ。きりき....
式部小路」より 著者:泉鏡花
広くはあらぬ橋の歩み、麗人の背後を通って、やがて渡り越すと影が放れた。そこで少時立留って、浮雲のただよう形、熟と此方を視めたが、思切った状して去った。 そ....
活人形」より 著者:泉鏡花
にぞ、主人は叱りて、「馬鹿め、人が聞かあ。後は何を囁くか小声にてちっとも聞えず。少時して一人その室を立出で、泰助の潜みたる、四番室の前を通り行くを、戸の隙間より....
大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
惜むに非ず。釣道の極意を得ざりしを惜むなり。と、兎さま角さまに、苦悶し、懊悩し、少時は石像木仏の如し。船頭、余り気を落せるを見て、 『旦那|如何です。此の潮の好....