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尖り
「尖り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
尖りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
と図抜けて、眼だけが大きくなっていった。そして肉体の衰えにつれて、鼻端がいよいよ
尖り出し唇が薄らいでくると、その毛虫のような逞《たくま》しい眉と俟《ま》って、た....
「放送された遺言」より 著者:海野十三
れにつづく音響を、たとえそれがいかに小さくとも聴きのがすまいと、長い円錐のように
尖りきった全身の神経を聴覚にあつめた。 「カリ、カリ、ガッ、ガッ、ジジ、カリッ…....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
のにやや失望させられた。それでも新しい湯にほんのりと匂う柚の香は、この頃とかくに
尖り勝ちなわたしの神経を不思議にやわらげて、震災以来初めてほんとうに入浴したよう....
「月世界探険記」より 著者:海野十三
の巨船は、トタン屋根をいただいた梁の下に長々と横たわっていた。頭部は砲弾のように
尖り、その底部には、缶詰を丸く蜂の巣がたに並べたような噴射推進装置が五層になって....
「○○獣」より 著者:海野十三
きな黒い眼鏡をかけ、いままで崩れた土塊をおこしていたらしく、右手には長い金属製の
尖り杖をもっていた。 「えッ、あなたが買うんですか」 「買います。これだけお金、....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
事かねえ、ははん。」 スポンと栓を抜く、件の咳を一つすると、これと同時に、鼻が
尖り、眉が引釣り、額の皺が縊れるかと凹むや、眼が光る。……歯が鳴り、舌が滑に赤く....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
木綿の蔽を掛け、赤い切で、みしと包んだヘルメット帽を目深に被った。…… 頤骨が
尖り、頬がこけ、無性髯がざらざらと疎く黄味を帯び、その蒼黒い面色の、鈎鼻が尖って....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
その装は四辺を払って、泰西の物語に聞く、少年の騎士の爽に鎧ったようだ。高靴の踵の
尖りを見ると、そのままポンと蹴て、馬に騎って、いきなり窓の外を、棟を飛んで、避雷....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
です。 その陰陽の転変……つまり、フォン・エッセンの金髪は黒髪に、唇の上や顎の
尖りは、そのまま口髭に、あるいは顎髯となって、フォン・エッセンとシュテッヘは、そ....
「鸚鵡蔵代首伝説」より 著者:国枝史郎
角形に見え、削けた頬は溝を作り、見開らかれた両眼は炭のように黒く、眉蓬々として鼻
尖り、妖怪のようでもあれば狂女のようでもあり、その顔の下に垂れている男の首は、代....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
茫々として満ちている。込み入った都会の建物は、あるいは高くあるいは低く、あるいは
尖りあるいは扁平に、その空の下からささえている。巨大な箒木のそれのように、建物の....
「迷信解」より 著者:井上円了
とじゃ。また、天狗の爪というものがある。その色青黒く、石のごとくにして、先の方|
尖り後ろの方広く、猛獣の爪のごとくに見ゆ。これは雷斧、雷楔のたぐいにて、石器時代....
「風呂を買うまで」より 著者:岡本綺堂
にやや失望させられた。それでも新しい湯にほんのりと匂う柚の香は、このごろとかくに
尖り勝なわたしの神経を不思議に和げて、震災以来初めてほんとうに入浴したような、安....
「審判」より 著者:カフカフランツ
にでもいつでも近寄れるはずだ、と考えた。しかし、毛皮の外套を着た門番、その大きな
尖り鼻、長くて薄い、真っ黒な韃靼人風の髯をよくよく見ているうち、はいる許可がもら....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
うやつだろう。」 褐色の尾の薄い青狐もいた。十字狐や赤狐もいた。その中に尻尾の
尖りの白い黒狐の仔だけがまだ人なつこく、はしっこく、金網に飛びついて来た。可憐な....