尚更[語句情報] » 尚更

「尚更〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

尚更の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
橡の花」より 著者:梶井基次郎
ても逃げられないことがあります。それは不快の一つの「型」です。反省が入れば入る程尚更その窮屈がオークワードになります。ある日こんなことがありました。やはり私の前....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
あれほどの格闘《かくとう》が俄かにひっそりと鎮まる筈がない。一方が倒れたならば、尚更その物音がきこえる筈であるのに、何事も無しに忽ち鎮まってしまうのは可怪《おか....
赤外線男」より 著者:海野十三
の摩訶不思議な「赤外線男」事件を解く一つの重大なる鍵の役目を演じたことを思えば、尚更逸することのできない話である。 なんかと云って筆者は、話の最初に於て、安薬....
河明り」より 著者:岡本かの子
ゆがみはすっかり均らされ、いつもの爛漫とした大柄の娘の眼が涙を拭いたあとだけに、尚更、冴え冴えとしてしおらしい。 「いつ頃、これを慥えなさって?」 「三年まえ…....
恭三の父」より 著者:加能作次郎
行くと向うの方から歌声がするので非常に吃驚した。そしてそれが恭三の父であったので尚更驚いた。恭三の父は足元も危い位に酔って居た。六平の女房を見ると突然、「貴様何....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
が発明されたと仰っしゃるか……それは大へん結構なことでございます。しかしそれなら尚更私の申上げる事がよくお判りの筈で、神社の装置もラジオとやらの装置も、理窟は大....
後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
極めて困難な仕事をなし遂げたと云う事も、一応は注目していいと思うね」 「それなら尚更、苦痛の表出がなけりゃならんが」検事は片唾を呑んで法水の言葉を待ったが、その....
伯林の落葉」より 著者:岡本かの子
十日程前だった。三四日前からはそれが実におびただしい速度と量を増して来た。公園は尚更、黄褐色の大渦巻きだった。彼は、始め街をしばらく歩いて居た。こまかい菩提樹の....
蜘蛛の夢」より 著者:岡本綺堂
が知れないとなれば、ひと騒ぎでございます。ましてことし十八という年頃の娘ですから尚更のことで、誰かと駈落ちでもしたか、誰かにかどわかされたか、なにしろ唯事ではあ....
決闘場」より 著者:岡本かの子
臀部の円く膨れた辺りにスマートな女らしさをしっかりと保って居る。彼女は痩せた体を尚更硬張らせて長方形の一段周辺より下った芝生を見入って居る。 ――ふふん、これ....
ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
最近、彼女に差し迫った変事でもありはしまいか――そんな予感が微かに起ると小田島は尚更じっとして居られなかった。 小田島は廊下へ抜け出し、イベットの泊って居る部....
バットクラス」より 著者:岡本かの子
うにわたくし思いますわ」 もちろん夫人はジョージアン式の旧い邸宅のカビ臭さには尚更幾つもの But を続けた結果この新式を招致して見たのだ。それでも矢張り B....
画道と女性」より 著者:上村松園
三度となると返事をしないわけにも行かないこともあるが、京都や大阪あたりの人達だと尚更、帝展などを見てそそり立てられて、自分の天分などのことも知りもしないで、ただ....
入れ札」より 著者:菊池寛
んなは、異口同音に、浅太郎の云い分に賛意を表した。が、そう云われてみると、忠次は尚更選みかねた。自分の大事な場所であるだけに、彼等の名前を指すことは、彼等に対す....
女の膝」より 著者:小山内薫
の縞物のお召縮緬の衣服を着て紫繻子の帯を〆めていたと云うことを聞込んだから、私も尚更、いやな気が起って早々に転居してしまった。その後其家は如何なったか知らないが、兎に角、嫌な家だった。....