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尤
「尤〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
尤の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
に何かいじらしい美しさを示した。彼はそれ等の美しさの為にいつか自然を愛し出した。
尤《もっと》も自然の美しさに次第に彼の目を開かせたものは本所の町々には限らなかっ....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
一
………それは小ぢんまりと出来上った、奥床しい門構えの家だった。
尤《もっと》もこの界隈《かいわい》にはこう云う家も珍しくはなかった。が、「玄鶴山....
「片恋」より 著者:芥川竜之介
われるようにしむける事も出来ないんです。ずいぶん因果じゃありませんか。」一々|御
尤《ごもっと》もだ。こいつには、可笑《おか》しい中でも、つまされたよ。
「それか....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
日本でも嚥《の》んでいる。」
「まさか。」
「いや、まさかじゃない。僕も嚥んだ。
尤《もっと》も子供のうちだったが。………」
僕はこう言う話の中《うち》に玉蘭の....
「蜃気楼」より 著者:芥川竜之介
代」を発見した。それは砂止めの笹垣《ささがき》を後ろに海を眺めている男女だった。
尤《もっと》も薄いインバネスに中折帽をかぶった男は新時代と呼ぶには当らなかった。....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
。我我は互に憐まなければならぬ。況《いわん》や殺戮《さつりく》を喜ぶなどは、――
尤《もっと》も相手を絞め殺すことは議論に勝つよりも手軽である。
我我は互に憐ま....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
いが、どうして、修理はそれほど容易に、家督を譲る気になれたのであろう。――
「御
尤《ごもっと》もでございます。佐渡守様もあのように、仰せられますからは、残念なが....
「兄貴のような心持」より 著者:芥川竜之介
皆無である。菊池となら一日ぶら/\していても、飽きるような事はなかろうと思う。(
尤も菊池は飽きるかも知れないが、)それと云うのは、菊池と一しょにいると、何時も兄....
「江口渙氏の事」より 著者:芥川竜之介
郎氏の大幅な所を思わせる程達者だ。何でも平押しにぐいぐい押しつけて行く所がある。
尤もその押して行く力が、まだ十分江口に支配され切っていない憾もない事はない。あの....
「格さんと食慾」より 著者:芥川竜之介
宇野浩二は聡明の人である。同時に又多感の人である。
尤も本来の喜劇的精神は人を欺くことがあるかも知れない。が、己を欺くことは極めて稀....
「久米正雄氏の事」より 著者:芥川竜之介
一つ制限を加えましょうか。それは久米が田舎者でも唯の田舎者ではないと云う事です。
尤もこれはじゃ何だと云われると少し困りますが、まあ久米の田舎者の中には、道楽者の....
「島木赤彦氏」より 著者:芥川竜之介
。お茶うけの蜜柑も太だ小さい。僕は殊にこの蜜柑にアララギらしい親しみを感じた。(
尤も胃酸過多症の為に一つも食えなかったのは事実である。) 島木さんは大分憔悴し....
「滝田哲太郎氏」より 著者:芥川竜之介
ろう。が、僕の見た限りでは滝田コレクションは何と言っても今人の作品に優れていた。
尤も僕の鑑賞眼は頗る滝田君には不評判だった。「どうも芥川さんの美術論は文学論ほど....
「豊島与志雄氏の事」より 著者:芥川竜之介
ない。 それが今日ではだん/\お互に下らない事もしゃべり合うような仲になった。
尤もそれは何時からだかはっきり分らない。三土会などが出来る以前からだったような気....
「東京に生れて」より 著者:芥川竜之介
ところにも都会らしい美しさを感じなければ外に安住するところはない。 広重の情趣
尤も、今の東京にも、昔の錦絵にあるやうな景色は全然なくなつてしまつたわけではない....