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尤も
「尤も〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
尤もの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
かの学校を通り抜けることは僅《わず》かに貧困を脱出するたった一つの救命袋だった。
尤も信輔は中学時代にはこう言う事実を認めなかった。少くともはっきりとは認めなかっ....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
窮屈にも違いなかった。それは唯玄鶴につき添う甲野と云う看護婦の来ている為だった。
尤も武夫は「甲野さん」がいても、ふざけるのに少しも変らなかった。いや、或は「甲野....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
もあると言うことである。
モオパスサン
モオパスサンは氷に似ている。
尤も時には氷砂糖にも似ている。
ポオ
ポオはスフィンクスを作る前に解....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
服物なども、良い品物は皆特別に織らせたもので、機織がなかなか盛んでございました。
尤もごく高価の品は鎌倉では間に合わず、矢張りはるばる京に誂えたように記憶して居り....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
は、正に狂人の沙汰であった。モーゼスを使役して通信しつつある霊達が歎息するのも、
尤もな次第である。最初はモーゼス自身すらも、決して神学的ドグマから超脱し切れず、....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
僕は冬の西日の当った向うの松山を眺めながら、善い加減に調子を合せていた。 「
尤も天気の善い日には出ないそうです。一番多いのは雨のふる日だって云うんですが」 ....
「兄貴のような心持」より 著者:芥川竜之介
皆無である。菊池となら一日ぶら/\していても、飽きるような事はなかろうと思う。(
尤も菊池は飽きるかも知れないが、)それと云うのは、菊池と一しょにいると、何時も兄....
「江口渙氏の事」より 著者:芥川竜之介
郎氏の大幅な所を思わせる程達者だ。何でも平押しにぐいぐい押しつけて行く所がある。
尤もその押して行く力が、まだ十分江口に支配され切っていない憾もない事はない。あの....
「格さんと食慾」より 著者:芥川竜之介
宇野浩二は聡明の人である。同時に又多感の人である。
尤も本来の喜劇的精神は人を欺くことがあるかも知れない。が、己を欺くことは極めて稀....
「久米正雄氏の事」より 著者:芥川竜之介
一つ制限を加えましょうか。それは久米が田舎者でも唯の田舎者ではないと云う事です。
尤もこれはじゃ何だと云われると少し困りますが、まあ久米の田舎者の中には、道楽者の....
「島木赤彦氏」より 著者:芥川竜之介
。お茶うけの蜜柑も太だ小さい。僕は殊にこの蜜柑にアララギらしい親しみを感じた。(
尤も胃酸過多症の為に一つも食えなかったのは事実である。) 島木さんは大分憔悴し....
「滝田哲太郎氏」より 著者:芥川竜之介
ろう。が、僕の見た限りでは滝田コレクションは何と言っても今人の作品に優れていた。
尤も僕の鑑賞眼は頗る滝田君には不評判だった。「どうも芥川さんの美術論は文学論ほど....
「豊島与志雄氏の事」より 著者:芥川竜之介
ない。 それが今日ではだん/\お互に下らない事もしゃべり合うような仲になった。
尤もそれは何時からだかはっきり分らない。三土会などが出来る以前からだったような気....
「東京に生れて」より 著者:芥川竜之介
ところにも都会らしい美しさを感じなければ外に安住するところはない。 広重の情趣
尤も、今の東京にも、昔の錦絵にあるやうな景色は全然なくなつてしまつたわけではない....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
等はやむを得ず船ばたに立ち、薄日の光に照らされた両岸の景色を見て行くことにした。
尤も船ばたに立っていたのは僕等二人に限った訳ではない。僕等の前にも夏外套を着た、....