尻上り[語句情報] » 尻上り

「尻上り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

尻上りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
クチマネ」より 著者:海若藍平
押して見ると、都合よくスッと開《あ》きました。占めたと思って、そこから機械体操の尻上りを応用して梯子段《はしごだん》の上に出て、あとの硝子《ガラス》窓をソッと閉....
婦系図」より 著者:泉鏡花
でさあね、と折革鞄を抱え込んだ、どこかの中小僧らしいのが、隣合った田舎の親仁に、尻上りに弁じたのである。 いずれ道学先生のために、祝すべき事ではない。 あえ....
蟹工船」より 著者:小林多喜二
ない、まるで自分自身の影のような「焼き」に始終追いかけられて、仕事をした。仕事が尻上りに、目盛りをあげて行った。 人間の身体には、どの位の限度があるか、然しそ....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
ると、雨が降過ぎても、 (――かなしいなあ――) と云う一つ癖があったんです。尻上りに、うら悲しい……やむ事を得ません、得ませんけれども、悪い癖です。心得なけ....
菎蒻本」より 著者:泉鏡花
は、箸を割って、肱を張り、擬勢を示して大胡坐に※となる。 「ええ。」 と早口の尻上りで、若いものは敷居際に、梯子段見通しの中腰。 「お馴染様は、何方様で……へ....
縁結び」より 著者:泉鏡花
襖を開けて、旅館の女中が、 「旦那、」 と上調子の尻上りに云って、坐りもやらず莞爾と笑いかける。 「用かい。」 とこの八|畳で応....
雪の夜」より 著者:小林多喜二
。が二、三カ所|人集りがあった。その輪のどれからか八木節の「アッア――ア――」と尻上りに勘高くひびく唄が太鼓といっしょに聞えてきた。乗合自動車がグジョグジョな雪....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
hank you だが、これがどうしても「キュウ!」としか聞えない。それも恐らく尻上りの「キュウ!」なんだから、はじめは誰でもちょっとびっくりさせられる。店へ這....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
出来なかった。しかるに、彼の口からは、倫敦リジェント街とピキャデリの角の英語が、尻上りの粋さをもって滑り出るのである。 ルセアニア人は、私に、昔からここで、伊....
化鳥」より 著者:泉鏡花
交っていないということはなかった。 見る時にいつも傍の人を誰かしらつかまえて、尻上りの、すました調子で、何かものをいっていなかったことはほとんど無い。それに人....
月明」より 著者:豊島与志雄
やかな声で、 「今日は。」 と声をかけると、漁夫も仕事の手元から眼を離さずに、尻上りの調子で、 「今日は。」 姉の後に続いていた俊子が、これも海水帽の縁の中....
悪夢」より 著者:豊島与志雄
かけてみた。 「十四よ。」 黒いしみのある味噌歯を出して薄笑いをしながら、女は尻上りの調子で答えた。 「十四……それにしちゃあよく伸びたものだね。」 「何が?....
独房」より 著者:小林多喜二
―俺はいきなり窓際にかけ寄ると、窓枠に両手をかけて力をこめ、ウンと一ふんばりして尻上りをした。そして鉄棒と鉄棒の間に顔を押しつけ、外へ向って叫んだ。 「ロシア革....
式部小路」より 著者:泉鏡花
ゃ、明日ともいわないで火の玉がころげ込みますぜ。放火だ、放火だ、放火だ、」 と尻上りに畳みかけて、足を上下へばたばたと遣ったが、 「あ、」というとたちまち寂滅....
雪柳」より 著者:泉鏡花
げ込むのですが、なりふりは煤はきの手伝といった如法の両人でも、間淵洞斎がまた声の尻上りなのさえ歯切れよく聞える弁舌|爽で、しかも二十前に総持寺へ参禅した、という....