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尻下り
「尻下り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
尻下りの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
同時で、ぬいと立ったは、眉の迫った、目の鋭い、細面の壮佼で、巾狭な単衣に三尺帯を
尻下り、粋な奴を誰とかする、すなわち塾の(小使)で、怪! 怪! 怪! アバ大人を....
「海異記」より 著者:泉鏡花
この媽々衆に貰ったやら、浅黄の扱帯の裂けたのを、縄に捩った一重まわし、小生意気に
尻下り。 これが親仁は念仏爺で、網の破れを繕ううちも、数珠を放さず手にかけなが....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
咲いて出たような天女型の美貌だが、額にかざした腕の陰影が顔の上半をかげらせ大きな
尻下りの眼が少し野獣じみて光った。 額に翳した右の手先と、左の腰盤に当てた左の....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
かない絶望に陥った、蒼ざめた顔をして、復一をじっと見た。深く蒼味がかった真佐子の
尻下りの大きい眼に当惑以外の敵意も反抗も、少しも見えなかった。涙の出るまで真佐子....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
やさしき顔のかの烏帽子|被れる児の払をば、国麿の引取りて、背後の方に居て、片手を
尻下りに結びたる帯にはさみて、鷹揚に指揮するなり。 わびたりとて肯くべきにあら....
「野ざらし」より 著者:豊島与志雄
にきっと結んで、やや頑丈な鼻の筋が、剃刀を当てたことない眉の間までよく通り、多少
尻下りに見えるその眉の下に、遠くを見つめるような眼付をする澄んだ眼が光っていた。....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
母とが、向かい合って坐っていた。 「八重、其方は強情だのう」 眼袋の出来ている
尻下りの眼へ、野獣的の光を湛え、酷薄らしい薄い唇を、なめずるように舌で濡らしなが....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
古十郎は例の如く※《ふき》のすれ切った黒羽二重の素袷に、山のはいった茶献上の帯を
尻下りに結び、掌で裸の胸をピシャピシャ叩きながら、 「ねえ、叔父上、それじゃあん....
「ざんげの塔」より 著者:夢野久作
十五、六の紳士の顔をスケッチしはじめた。中禿の頭の毛、ダダッ広い額、ゲジゲジ眉、
尻下りになった眼、小さな耳、大きな鷲鼻、への字なりの口、軍艦のようなアゴと念入り....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
になった、垢染みた、左の腕あたりに大きな焼穴のあるのを一枚|引掛けて、三尺の帯を
尻下りに結び、前のめりの下駄の、板のようになったのに拇指で蝮を拵えたが、三下とい....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
も寂しいんだね。」と私も見送った。 と、 でれでれと二等の一組。男は中脊の目
尻下り、女は髪を等分の、これはこってりの、おちょぼ口。その恋々相愛の、手に肩、肩....