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尻切れ
「尻切れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
尻切れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「出世」より 著者:菊池寛
た。それは、何でも高等学校の二年の時だったろう。 彼は、その日何でも非常に汚い
尻切れの草履をはいていた。その頃、彼は下駄などはほとんど買ったことがなく、たいて....
「恐しき通夜」より 著者:海野十三
士も、ギョッとして、その場に立ち竦んだ。 「星宮君。私の第三話が、もうすこしで、
尻切れ蜻蛉になるところだった。幸い君は生命をとりとめたようだから、サアここへ坐っ....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
頬かむりに弥造をこしらえて、ふるえながら歩いている影がある。 ぺたりぺたりと
尻切れ草履で、ほこりを立てながら、いかにもひもじそうに歩いて行く奴がある。 そ....
「思想と風俗」より 著者:戸坂潤
風刺劇であるが(小説に直したって大して困らないことは今日の大抵の戯曲の特色だ)、
尻切れトンボだ。模範青年は無論馬鹿野郎である。――憎悪も一つのモラルだ、ところで....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
り長屋の一同、どっと一団になって押しだしました。 下帯一つにむこう鉢巻のもの、
尻切れ半纏《はんてん》に鳶口《とびぐち》をひっかつぐやら、あわてて十能を持ち出し....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
いう表情で、ちらりと見たッきり、二度と目もくれない。
雪之丞は、ありあわせた、
尻切れ草履を穿《は》いたまま、寒風が、黒く吹いている通りへ出て、少し行って、辻か....
「播州平野」より 著者:宮本百合子
その狂暴な力は虚脱した。みるすべての人々を絶望させる子供だましの壮大さと、虚勢の
尻切れとんぼとがあった。無意味なものとなり、空虚なさびしさを示すばかりのアスファ....
「暗号の役割」より 著者:海野十三
暗号をもちて申上げます例の男は”――ここまでで二十五字となる。これだけでは文章が
尻切れ蜻蛉だ。その先はどこに隠れているのだろう。 もっと暗号文は永く続いている....
「雷」より 著者:海野十三
一ヶ所だけ済んだばかりだ。約束どおり、あと二ヶ所の約束を果さなきゃ、四郎の実験は
尻切れ蜻蛉になるちゅうで、つまりソノ……お金は全部終らなきゃ、儂のところへは、わ....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
安く仕上げたところのバスの形はいと情ない姿である。長さの甚だ足りない、不安定な、
尻切れとんぼの、貧乏臭い箱が走って行くところは、『箱根霊験記』の主人公とその一族....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
っている。
あわてた与吉が、ふと向うを見ると、こけ猿の包みを抱えたチョビ安が、
尻切れ草履の裏を背中に見せて、雲をかすみととんでゆくのだ。
安積玄心斎の一行は....
「真夜中から黎明まで」より 著者:豊島与志雄
らば四時頃、夏ならば三時頃、突然或る物音が響く。身震いに似た木の葉の戦き、ぽーと
尻切れの汽笛の音、無意識的な犬の遠吠、または何物とも知れぬ擾音、それらの一つがふ....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
ようになって来た。 リアルな生活関心に根を持たぬ男女関係は所詮すさびであった。
尻切れとんぼに終らざるを得ない。尾道での私の年少の恋の手習いはみなそうした結末に....
「文学のふるさと」より 著者:坂口安吾
のものではありますが、この狂言を見てワッと笑ってすませるか、どうか。尤も、こんな
尻切れトンボのような狂言を実際舞台でやれるかどうかは知りませんが、決して無邪気に....
「おみな」より 著者:坂口安吾
でのこと。 こう言えばとて私は愛情に就て述べているのではないのです。それに就て
尻切れとんぼの差出口をはさむために私はあまりに貧困だ。(これは又謙遜な!)私はひ....