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尻端折り
「尻端折り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
尻端折りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
十三 どこも変らず、風呂敷包を首に引掛けた草鞋穿の親仁だの、日和下駄で
尻端折り、高帽という壮佼などが、四五人境内をぶらぶらして、何を見るやら、どれも仰....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
、白髪を振り乱して、蕎麦切色の褌……いやな奴で、とき色の禿げたのを不断まきます、
尻端折りで、六十九歳の代官婆が、跣足で雪の中に突っ立ちました。(内へ怪けものが出....
「蠅男」より 著者:海野十三
こいという意味の合図をした。 「よオし、ではいま上る――」 帆村荘六は、そこで
尻端折りをして、冷い鉄梯子につかまった。そして下駄をはいたまま、エッチラオッチラ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
から引き返して、半蔵を迎えに来た。半蔵は平助の付き添いに力を得て、脚絆に草鞋ばき
尻端折りのかいがいしい姿になった。 諸国には当時の厳禁なる百姓|一揆も起こりつ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
いとから、この多吉が古い暖簾も畳まねばならなくなった時、かみさんはまた、草鞋ばき
尻端折りになって「おすみ団子」というものを売り出したこともあり、一家をあげて江戸....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
そういうお隅に送られて、多吉は恭順と一緒に左衛門町の門を出た。お隅はまた、パッチ
尻端折りの亭主の後ろ姿を見送りながら、飛騨行きの話の矢先にこんな事件の突発した半....
「足迹」より 著者:徳田秋声
停車場へ着くと、提灯を持った男が十人余り出迎えていた。法被を着た男や、縞の羽織に
尻端折りをして、靴をはいた男などがいた。中には羽織袴の人もあった。 「どうも御苦....
「新釈諸国噺」より 著者:太宰治
わかった。わしは土方人足というところか。さがしますよ、拾いますよ。」と吉郎兵衛は
尻端折りして薄暗闇の地べたを這い一歩金やらこまがねやらを拾い集めて、「こうして一....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
きょろんと遣ったが、 「ちぇ、小道具め、しようがねえ。」 と高慢な口を利いて、
尻端折りの脚をすってん、刎ねるがごとく、二つ三つ、舞台をくるくると廻るや否や、背....
「三甚内」より 著者:国枝史郎
無言で振り返った鼻先へ、天水桶の小蔭からヒラリと飛び出した男がある。頬冠りに
尻端折り、草履は懐中へ忍ばせたものか、そこだけピクリと脹れているのが蛇が蛙を呑ん....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
さをかぶって、道行を着て、手甲脚半に手足をよそおい、お粂はスタスタと歩いてゆく。
尻端折りをして道中差しを差して、並んで金兵衛が歩いてゆく。
夕暮れに近い時刻で....
「月の夜がたり」より 著者:岡本綺堂
ような便利なものはないから、どうしても自分で探しあるかなければならない。彼も毎日
尻端折りで、浅草下谷辺から本所、深川のあたりを根よく探しまわったが、どうも思うよ....
「食堂」より 著者:島崎藤村
これまでの小竹ではないつもりですよ。人物さえ確かなら、どんな人とでも手を組んで、
尻端折りでやるつもりですよ。私はもう今までのような東京の人では駄目だと思って来ま....
「とと屋禅譚」より 著者:岡本かの子
いるのが、われながら珍しくて嬉しい。その後に柳橋の幇間、夢のや魯八が派手な着物に
尻端折りで立って居る。魯八は作り欠伸の声を頻りにしたあとで国太郎の肩をつつく。 ....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
の庄亮(歌人|吉植君)が解纜前五、六分前に、やっとリボンもつけない古いパナマ帽に
尻端折りで、「やあ」と飛び込んで来たことである。「アッハッハ」と豪傑笑いをして一....