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尽きる
「尽きる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
尽きるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
云う筈はない。――あれは風の音であろうか――あの日以来の苦しい思が、今夜でやっと
尽きるかと思えば、流石《さすが》に気の緩むような心もちもする。明日の日は、必ず、....
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
《おはじ》きをしながら、祖母の枕もとに坐っていましたが、隠居は精根《せいこん》も
尽きるほど、疲れ果てていたと見えて、まるで死んだ人のように、すぐに寝入ってしまっ....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
うりょう》畑の中を無二無三《むにむさん》に駈けて行った。どこまで駈けても、高粱は
尽きる容子《ようす》もなく茂っている。人馬の声や軍刀の斬り合う音は、もういつの間....
「戦争中止を望む」より 著者:伊丹万作
現在の日本は政治、軍事、生産ともに行き当りばったりであり、万事が無為無策の一語に
尽きる。 我々国民は、政府が勝利に対する強力なる意志と、周到なる計画性とその実....
「顔の美について」より 著者:伊丹万作
である。 私は時たま自分の顔を鏡に見て、そのあまりにまとまりのないことに愛想が
尽きることがある。私の顔をまずがまんのできる程度に整えるためには私は歯を喰いしば....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
でございます。 美女 まあ、灯も消えずに…… 女房 燃えた火の消えますのは、油の
尽きる、風の吹く、陸ばかりの事でございます。一度、この国へ受取りますと、ここには....
「橋」より 著者:池谷信三郎
割目に落ちこんでしまったのです。男は無限の憂愁と誠意を黒い衣に包んで、その氷河の
尽きる山の麓の寒村に、小屋を立てて、一生をそこで暮したということです。氷河は一日....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
行というのは、つまり斯うした失敗とお叱言の繰りかえしで、自分ながらほとほと愛想が
尽きる位でございました。私というものはよくよく執着の強い、罪の深い、女性だったの....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
ら来る心身の衰弱は如何?』 節制第一――われ等の推奨する所は、ただ節制の一語に
尽きる。肉体が食物の補給を必要とするは勿論なれど、ただそれが完全に消化した上でな....
「余裕のことなど」より 著者:伊丹万作
に自己を鍛錬して、いかなる場合にもぐらつくことのない立派な余裕を築き上げることに
尽きるようである。そして芸術の役割とは要するに人々の心に余裕の世界観を植えつける....
「私の活動写真傍観史」より 著者:伊丹万作
終りの時がくると絶望的な深い寂しさを感じた。 神戸で見た活動写真の記憶は以上で
尽きる。 八歳のとき私は郷里の松山へ帰つた。そしてそこで十八の春まですごした。....
「映画と民族性」より 著者:伊丹万作
ばなおこのほかにもいくばくかの意見があるであろうが、方針の根幹はおよそ右の二途に
尽きるようである。 順によつてまず最初に外地向き映画特製論を検討してみるが、こ....
「人間山中貞雄」より 著者:伊丹万作
が拡大され酷使された。 そして彼は死んだ。 私の山中に関する感想はほぼ以上で
尽きる。要するに彼のごときは(みな、他人ごとだと思つてはいけない。)才能ある人間....
「おばけずきのいわれ少々と処女作」より 著者:泉鏡花
った。 ちょうどこの時分、父の訃に接して田舎に帰ったが、家計が困難で米塩の料は
尽きる。ためにしばしば自殺の意を生じて、果ては家に近き百間堀という池に身を投げよ....
「西航日録」より 著者:井上円了
、亜山埃水入吟眸、客身已在天涯外、遮莫家郷憶遠游。 (紅海の懐いを書す 紅海の
尽きるあたり、風も月もほのかに、亜の山と埃の水が詩人の眸のなかに入ってきた。旅客....