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尽し
「尽し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
尽しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
る。――高い天井に対する恐怖を、大きい窓に対する恐怖を、無数の椅子《いす》を埋め
尽した無数の人々に対する恐怖を。が、恐怖は幸いにも二三度通ううちに消滅した。彼は....
「一夕話」より 著者:芥川竜之介
出来ないくらいだった。
「君たちは勿論知らないが、小えんは若槻に三年この方、随分
尽して貰っている。若槻は小えんの母親ばかりか、妹の面倒も見てやっていた。そのまた....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
、陰陽師《おんみょうじ》などが、皆それぞれに肝胆《かんたん》を砕いて、必死の力を
尽しましたが、御熱は益《ますます》烈しくなって、やがて御床《おんゆか》の上まで転....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
う場合には粟野さんに対する礼儀上、当惑《とうわく》の風を装《よそ》うことに全力を
尽したのも事実である。粟野さんはいつも易《やす》やすと彼の疑問を解決した。しかし....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
盃《さかずき》のやりとりを始めました。ですからその夜は文字通り一夕の歓《かん》を
尽した後で、彼の屋敷を辞した時も、大川端《おおかわばた》の川風に俥上の微醺《びく....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
郎《さんちゃじょろう》の一人であった。が、彼女は勤めを離れて、心から求馬のために
尽した。彼も楓のもとへ通っている内だけ、わずかに落莫とした心もちから、自由になる....
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
のは、一通《ひととお》りや二通《ふたとお》りではありません。が、いくら医者が手を
尽しても、茂作の病気は重くなるばかりで、ほとんど一週間と経たない内に、もう今日《....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
か。」
伝右衛門は、こう云う前置きをして、それから、内蔵助が濫行《らんこう》を
尽した一年前の逸聞《いつぶん》を、長々としゃべり出した。高尾《たかお》や愛宕《あ....
「おしの」より 著者:芥川竜之介
力の及ぶ限り、医者にも見せたり、買い薬もしたり、いろいろ養生《ようじょう》に手を
尽した。しかし少しも効験《こうけん》は見えない。のみならず次第に衰弱する。その上....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
の姿を眼も離さずに眺めていた。彼はしばらくの間動かなかった。しかし彼が懸命の力を
尽している事だけは、その手足から滴《したた》り落ちる汗の絶えないのにも明かであっ....
「捨児」より 著者:芥川竜之介
ついたのでした。そうしてその後二十年あまりは、ほとんど寝食さえ忘れるくらい、私に
尽してくれたのでした。
「どう云う量見か、――それは私も今日《こんにち》までには....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
》を語ってはいないであろうか?
創作は常に冒険である。所詮《しょせん》は人力を
尽した後、天命に委《ま》かせるより仕方はない。
少時学語苦難円 唯道工夫半未全....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
えありません。こういうとただ華麗《かれい》な画のようですが、布置《ふち》も雄大を
尽していれば、筆墨《ひつぼく》も渾厚《こんこう》を極《きわ》めている、――いわば....
「「菊池寛全集」の序」より 著者:芥川竜之介
に宛然 Pelion に住む巨人のものである。 が、容赦のないリアリズムを用い
尽した後、菊池は人間の心の何処に、新道徳の礎を築き上げるのであろう? 美は既に捨....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
。この手記は鋭い神経をもつ人や感じやすい者のみに解るような悲惨な最後の理由を述べ
尽しているのである。以下その手記である、―― 夜も更けた、もう真夜中である。私....