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「居並ぶ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

居並ぶの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
逆行」より 著者:太宰治
て、遊びたい、と答えた。老人の、ひとのよい無学ではあるが利巧な、若く美しい妻は、居並ぶ近親たちの手前、嫉妬《しっと》でなく頬をあからめ、それから匙を握ったまま声....
窮死」より 著者:国木田独歩
そうに敷居をまたげた。すでに三人の客がある。まだランプをつけないので薄暗い土間に居並ぶ人影もおぼろである。 先客の三人も今来た一人も、みな土方か立ちんぼうぐら....
白髪小僧」より 著者:杉山萠円
かりでした。 お礼を済ました家《うち》中の者が左右に開いて白髪小僧を真中にして居並ぶと、やがて向うの入り口から大勢の家来が手に手に宝石やお金を山盛りに盛った水....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
るはずでございます。」 「なるほど、そういうこともあろう。」と都筑駿河は言って、居並ぶ神保佐渡の方へ膝を向け直して、「御同役、いかがでしょう。くわしいことは書面....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
て将軍を見る機会がないからであった。のみならず老中はじめ諸大官が威儀正しくそこに居並ぶから、客も周囲の厳かさに自然と気をのまれるからで。 しかし、当時のオラン....
旅日記から」より 著者:寺田寅彦
等室のほうからも燕尾服の連中がだんだんにやってくる。女も美しい軽羅を着てベンチへ居並ぶ。デッキへは蝋かなにかの粉がふりまかれる。楽隊も出て来てハッチの上に陣取っ....
大阪発見」より 著者:織田作之助
櫃ではないか。おまけに文楽の人形芝居で使うような可愛らしいお櫃である。見渡すと、居並ぶ若い娘たちは何れもしるこやぜんざいなど極めて普通の、この場に適しいものを食....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
は吹き暮れつ冬木立 樹にかけし提灯一つ師走かな 大年の両国通ふ灯かな 煤掃や庭に居並ぶ羅漢達 暁や見附出づれば餅の音 忘れけり四十九年の何とやら....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
摂津にて作れる歌である。「しなが鳥」は猪名につづく枕詞で、しなが鳥即ち鳰鳥が、居並ぶの居と猪とが同音であるから、猪名の枕詞になった。猪名野は摂津、今の豊能川辺....
中支生活者」より 著者:豊島与志雄
ゆる種類の人がある。 芝原氏が声をかけると、卓子のまわりにずらりと数名の人々が居並ぶ。中には何か用件を耳語する者もいる。さて、立って帰りかける時にも、芝原氏は....
南国太平記」より 著者:直木三十五
ず、お由羅派を討つか、それとも、牧仲太郎一人を討つか――この点を、計って見たい」居並ぶ人々は、黙っていた。 「つまり、成るべくならば、家中に、党を樹てたくはない....
安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
トラに使うてくれはッたらよかったんやわ。遠慮せんかてええわ」 新聞記者諸先生方居並ぶ前で、怖れを知らぬ大音声。本人に変テコな意識は何もないのだね。トッサに思い....
環礁」より 著者:中島敦
のだろうか? 船がいよいよ汽笛を鳴らして船首を外海に向け始めた時、ナポレオンが居並ぶ島民らと共に船に向って手を振ったのを、私は確かに見た。あの強情な不貞腐れた....
握り寿司の名人」より 著者:北大路魯山人
くい様相を呈し、遅疑逡巡、終には素通りする者も少なくなかろう。それがため、店内に居並ぶ客種は普通の寿司屋にみるように、A級、B級、C級と混合していないのが特色で....
六号室」より 著者:瀬沼夏葉
『ええ只今、足下に御関係のある事柄で、申上げたいと思うのですが。』と、市役所員は居並ぶ人々の挨拶が済むとこう切り出した。『あ、エウゲニイ、フェオドロイチの有仰る....