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「居処〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

居処の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
剣幕が烈いので、悄れて声が霑んだのである。 「薄情でない! 薄情さ。懇意な婦の、居処を知らなけりゃ薄情じゃないか。」 「だって、貴郎。だって、先方でも、つい音信....
眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
たお姿が見えません。提灯も何も押っ放り出して、自分でわッと言って駈けつけますと、居処が少しずれて、バッタリと土手っ腹の雪を枕に、帯腰が谿川の石に倒れておいででし....
疑問の金塊」より 著者:海野十三
と仰有るのですかい、はッはッはッ。……まア、それはいいとして、旦那方。私は犯人の居処を知っていますよ」 「ナニ、犯人の居処? 犯人は誰だッ」 「犯人は誰だか知ら....
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
ている銀行には無断で、一週間ほど以前にどこへか姿を隠した。 「その内田という男の居処はまだ知れませんか。」と、僕は訊いた。 「知れません。」と、それを話した世話....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
つと寄ると、手巾を払った手で、柄杓の柄の半ばを取りしめた。その半ばを持ったまま、居処をかえて、小県は、樹の高根に腰を掛けた。 「言いますわ、私……ですが、あなた....
」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
、逃げなければならぬのであった。ある年の冬番人を置いてない明別荘の石段の上の方に居処を占めて、何の報酬も求めないで、番をして居た。夜になると街道に出て声の嗄れる....
死者の書」より 著者:折口信夫
堂を廻って、音するものもなかった。日は段々|闌けて、小昼の温みが、ほの暗い郎女の居処にも、ほっとりと感じられて来た。 寺の奴が、三四人先に立って、僧綱が五六人、....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
て抜足しつつ、小路の中を横ぎりたり。見返れば姉上の立ちたまう。また見れば、小親|居処を替えしがなお立てり。 密にわが家の門の戸に立寄りぬ。何事もあらず、内はい....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
、その言う処を確めよう、先刻に老番頭と語るのをこの隠れ家で聞いたるごとく、自分の居処を安堵せんと欲して、立花は手を伸べて、心覚えの隔ての襖に触れて試た。 人の....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
目と、金目と、赤い目の奴等よ。主達が功徳での、地蔵様が建ったが最後じゃ。魔物め、居処がなくなるじゃで、さまざまに祟りおって、命まで取ろうとするわ。女子衆、心配さ....
一利己主義者と友人との対話」より 著者:石川啄木
ていた。 A 何故。 B 何故ってそうじゃないか。第一こんな自由な生活はないね。居処って奴は案外人間を束縛するもんだ。何処かへ出ていても、飯時になれあ直ぐ家のこ....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
が子でなくて幸せであった。しかし、むごたらしい運命があるものだ。ようやくお久美の居処が分ったと思えば、それは愛する女の口からだ。そして愛する女がお久美の娘であろ....
遍路」より 著者:斎藤茂吉
つまって思い悩んだ揚句、全く浮世を棄てて神仏にすがり四国遍路を思立った。然るに、居処不定の身となり霊場を巡っているうちに、片方の眼が少しずつ見えるようになって来....
エタと非人と普通人」より 著者:喜田貞吉
かった。しかもその当初にありては、エタは当時の落伍者中に於いても比較的早く安住の居処を得、一定の職を有して町村役人の一部に列し、町村の警固に任じ、雑役に服し、相....
エタ源流考」より 著者:喜田貞吉
でありうべきことも、また別項「エタ名義考」中に述べておいた。そしてその餌取本来の居処は、平安京右京第三坊で、佐比大路の西三町目にある餌取小路にその名が残っている....