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「屈託〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

屈託の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
仙人」より 著者:芥川竜之介
が出る。が、それは、文字通り時々で、どちらかと云えば、明日《あす》の暮しを考える屈託《くったく》と、そう云う屈託を抑圧しようとする、あてどのない不愉快な感情とに....
或る女」より 著者:有島武郎
て化粧をすますために鏡のほうに近づいた。 木村を良人《おっと》とするのになんの屈託《くったく》があろう。木村が自分の良人《おっと》であるのは、自分が木村の妻で....
或る女」より 著者:有島武郎
うくらいのものだった。 倉地も汽車の中から自然に気分が晴れたと見えて、いかにも屈託なくなって見えた。二人は停車場の付近にある或《あ》る小ぎれいな旅館を兼ねた料....
みちのく」より 著者:岡本かの子
れには多分に迷信性と流行性があったかも知れない。しかし少年の一点の僻《ひが》みも屈託《くったく》もない顔つきと行雲流水のような行動とは人々の心に何か気分を転換《....
婦系図」より 著者:泉鏡花
く、主税は何か、思い屈した、沈んだ、憂わしげな色が見える。 好男子世に処して、屈託そうな面色で、露店の三世相を繰るとなると、柳の下に掌を見せる、八卦の亡者と大....
隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
はないけれど、つまりおとよさんがみんなの気合いにかまわず、自分一人の秘密にばかり屈託していたから、みんなとの統一を得られなかったのだ。いつでも非常なよい声で唄を....
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
目に見たおとよは、元気よく内外の人と世間話もする。人が笑えば共に笑いもする。胸に屈託のあるそぶりはほとんど見えない。近所隣へいった時、たまに省作の噂など出たとて....
地獄の使者」より 著者:海野十三
んに入れたのが第二幕でございました」 検事がにこにこ顔で、軽く拍手した。検事の屈託のない人柄を、帆村は以前から尊敬していたので、もう一つお辞儀をした。 「帆村....
湯島の境内」より 著者:泉鏡花
て縋る)ああ(嬉しそうに)久しぶりで逢ったようよ。(さし覗く)どうしたの。やはり屈託そうな顔をして。――こうやって一所に来たのは嬉しいけれど、しつけない事して、....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
且つ悟り且つあきらめたようなものいい。 「何か憑物でもしたというのか、暮し向きの屈託とでもいう事か。」 と言い懸けて、渋茶にまた舌打しながら、円い茶の子を口の....
女客」より 著者:泉鏡花
、元気が出て、心が活々したんです。それだから貴女はついぞ、ふさいだ、陰気な、私の屈託顔を見た事はないんです。 ねえ。 先刻もいう通り、私の死んでしまった方が....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
くって、病人らしく見えたであろう。 こっくりした色に配してさえ、寒さのせいか、屈託でもあるか、顔の色が好くないのである。銚子は二本ばかり、早くから並んでいるの....
滝田哲太郎君」より 著者:芥川竜之介
るようになった。 ◇ 或年の春、僕は原稿の出来ぬことに少からず屈託していた。滝田君の原稿を示し、(それは実際苦心の痕の歴々と見える原稿だった。....
春昼後刻」より 著者:泉鏡花
ろ先を越して、 「私、どうしたら可いでしょう。」 と思い案ずる目を半ば閉じて、屈託らしく、盲目が歎息をするように、ものあわれな装して、 「うっかり飛んだ事を申....
式部小路」より 著者:泉鏡花
。おかみさん、」 といったが、黙っている。 「え、おかみさん。」 頸を垂れて屈託そう、眉毛のあとが著るしく顰んで、熟と小首を傾けたり。はてこの様子では茶も菓....