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屋形
「屋形〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
屋形の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
す。思いもよらない急な御病気とは云うものの、実はかれこれその半年ばかり前から、御
屋形《おやかた》の空へ星が流れますやら、御庭の紅梅が時ならず一度に花を開きますや....
「桃太郎」より 著者:芥川竜之介
《ちくでん》した。のみならず鬼が島に生き残った鬼は時々海を渡って来ては、桃太郎の
屋形《やかた》へ火をつけたり、桃太郎の寝首《ねくび》をかこうとした。何でも猿の殺....
「竜」より 著者:芥川竜之介
だのの数寄《すき》を凝らした牛車《ぎっしゃ》が、のっしりとあたりの人波を抑えて、
屋形《やかた》に打った金銀の金具《かなぐ》を折からうららかな春の日ざしに、眩《ま....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
なすった後《のち》、御近習《ごきんじゅ》は皆逃げ去った事、京極《きょうごく》の御
屋形《おやかた》や鹿《しし》ヶ|谷《たに》の御山荘も、平家《へいけ》の侍に奪われ....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
、柳の影はきのうにくらべると俄に痩せたように見えた。大納言|師道《もろみち》卿の
屋形《やかた》の築地《ついじ》の外にも、その柳の葉が白く散っていた。 ひとりの....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
にせかれて咽び落ちる山川を境いにして、上の方の背山にも、下の方の妹山にも、武家の
屋形がある。川の岸には桜が咲きみだれている。妹山の家には古風な大きい雛段が飾られ....
「御萩と七種粥」より 著者:河上肇
であったから、多分誰かに預けられて留守居したであろう。 赤い毛氈を敷いた一艘の
屋形舟は、一行を載せ、夏の川風に吹かれながら、鮎や鮠などの泳いでいる清い流れの錦....
「千早館の迷路」より 著者:海野十三
と左の隅に立って手を上に延ばすと、玄関の扉と同じ面にある壁の装飾浮彫の紅葉見物の
屋形船に触わる。田鶴子が爪先を伸ばして、
屋形船の上を指先で探っていたのを、帆村は....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
へ掛けつつ棹があった。 舷は藍、萌黄の翼で、頭にも尾にも紅を塗った、鷁首の船の
屋形造。玩具のようだが四五人は乗れるであろう。 「お嬢様。おめしなさいませんか。....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
なりの角から、町幅を、一息、苗代形に幅の広くなった処があって、思いがけず甍の堆い
屋形が一軒。斜に中空をさして鯉の鱗の背を見るよう、電信柱に棟の霞んで聳えたのがあ....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
動車の煽る黄塵に塗れ、殊に震災の蹂躙に全く荒れ果て、隅田の情趣になくてはならない
屋形船も乗る人の気分も変り、型も改まって全く昔を偲ぶよすがもない。この
屋形船は大....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
先ず驚かされる。 九州でも今の地理からすれば辺陬と称しても好い土地に祖先以来の
屋形がある。小高い野づかさが縦に列んでいるのが特異な景観として目につきやすい。そ....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
ると、権右衛門は先きに立ってかれを奥庭の方へ連れて行った。ここも然るべき殿上人の
屋形であったのを、去年から新しい主人に横領されたもので、庭の奥には大きい古池が薄....
「島原の夢」より 著者:岡本綺堂
岩にせかれて咽び落ちる山川を境にして、上の方の脊山にも、下の方の妹山にも、武家の
屋形がある。川の岸には桜が咲きみだれている。妹山の家には古風な大きい雛段が飾られ....
「握り寿司の名人」より 著者:北大路魯山人
鮎川翁のひいき大なるものがあったようである。 寿司屋としての店頭は、古臭い寿司
屋形式を排し、一躍近代感覚に富むところの新建築をもって唖然たらしめるものがあり、....